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体育科学センター第12回公開講演会講演要旨/幼児の精神的発達と運動

6.幼児の運動適正量と心理的満足度との関係
 幼児の運動適正量を考える場合には,幼児がある種の身体運動を行うことによって「楽い」と感じるレベルでの運動量をさぐることが大事である.
筆者は,運動量をPedometer(万歩計)で測定し,心理的満足度(楽しさ)を円形描記と発声時間記録によって計測し,いろいろな運動遊戯を行った際のこれらの数値を検討し,両者の関係を調べて見た.その結果は,Table7に示した通りである.
 (1)走運動形式の遊戯(三つ巴,鬼ごっこ),跳運動形式の遊戯(なわとび)では,男女とも楽しさが大で,運動量も大であった.
 (2)走運動形式でも,リレーでは,運動時間が短かく,しかも待ち時間が多いために,激しい運動である割合には運動量は少ない.しかし,チームの競争意識と集団意識は触発され,楽しさは大であった.
 (3)歌唱遊戯は個々の遊びによって運動量の大きさが異なり,一概に小とはいえず,中には非常に大きいものもある(花いちもんめ).
 (4)歌唱遊戯では女子は運動量の大小にかかわらず楽しさが大である.しかし男子では運動量がPedometerのカウントで分当り43以下の場合には楽しさが5段階評価の「4」未満で中以下であり,運動量が80の場合には楽しさも4.2と大きくなって大であることを示している.このことから考えて男子ではある程度以上の運動量(分当り80程度)がなければ歌唱遊戯で楽しさを感じることが少ないと推察できる.
 (5)女子で最大の運動量を示した「花いちもんめ」では,楽しさも4.5の高いレベルにあるが,Pedometerでは分当り128.9という激しさで,当初20分間実施の予定であったものが,15分以上の続行が困難となり打切ったほどであった.
 (6)これらのことから,運動適正量としては,Pedometerのカウントで分当り110〜130のところを目安にしてよいのではないかと思われる.
 (7)幼児の運動遊戯では,運動量と楽しさの両方がともに高いことが望まれる.その点からいえば「三つ巴」は価値ある遊びとして推奨できる.


Table7.The relationship between amount of activity and pleasure in play.



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