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体育科学センター第12回公開講演会講演要旨/幼児の精神的発達と運動

3.幼児の情緒的発達と運動
 調整カテストの得点の高いグループ(G)と,低いグループ(P)との間には,内田・クレペリン検査(意志・気質検査)の結果で表5のような異った傾向が見られる.高いグループでは,おっとり,内的安定が目立ち,低いグループでは,そううつが目立っていて,情緒の安定,不安定の差が明らかである.
 幼稚園の担任教師が,このG群の子どもたちに下した印象は,?活発である,?自主性がある,?理解力がある,?がんばり屋である.またP群に下した印象は,?過保護である.?神経質である,?無気力である,?落着きがない,ということであった.
 つぎに,幼児の性格と運動能力との関係について調べられた鈴本衛氏らの研究によると,園児で運動能力の上位群と下位群との間には,かなり明瞭な差異が示された.それによると,男子では運動能力上位群では神経質性,退行性,社会性,幼稚園適応,社会的安定度の各特性において下位群よりも良好な状態にあるという.
 また,女子では運動能力上位群は社会的,幼稚園適応の2特性で下位群よりも良好な状態にあるという.
 子どもの心身は密接に関係している.平素健康な子どもでも,心理的な問題は生理的な反応となって現れることが多い.  少し病的になると,自分のいうことがきき入れられないときに,きまって嘔吐する幼児もいるし,体育の授業のある朝に,きまって咳き込む小児ぜんそくの小学生もいる.子どもの精神衛生では,心身相関の問題が多い.運動遊戯においても,これが見られる.
  表5 Personality assessment by Uchida-
Krapelin Test (6yrssubjs)



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