体育科学センター第12回公開講演会講演要旨/幼児の精神的発達と運動
2.幼児の知的発達と運動
知能は重要な精神の一面であるから,さきに述べた精神発達と運動発達との関係がそっくりそのまま当てはまる.事実,運動能力と知能指数との関係について,鈴木衛氏が3,4,5歳児を対象として調べた結果によると,表1の通りである.これによると,4歳男児のみは少し異状な数値が出ていて疑問が残るが,他の多くの場合は相関関係が見られ,とくに3歳児ではその関係が密接である.
同様に,筆者たちが3種類の知能テストを用い,それと体力・運動能力に関するテストとの相関関係を調べた結果は,表2の通りである.これによると,知能と巧性,知能と基礎運動能力とは,かなり相関が見られる.
また,調整カテストの中の「とび越しくぐりは,運動能力の多くの面と深くかかわっていることが明らかにされているが,これと他の運動種目および知能テストとの相関は,表3の通りである.いずれもかなり高い相関関係が見られる.
同じく,調整カテストの中の「反復横とび」は敏捷性を調べることで期待されているテスト種目であるが,これと他の運動種目および知能テストとの相関は,表4の通りである.種目によっては,かなり高い相関が見られる.
一般的に,正常児は精神薄弱児よりも運動能力が高いが,精神薄弱児でも軽度の場合は練習によって向上する余地は大きい.
表1
幼児の知能指数と運動能力との相関 (鈴木 衛)
|
表2
知能テストと運動能カテストとの成績の相関係数
|
表3
とぴこしくぐりと他のテストとの相関係数
(勝部篤美・鈴木重夫)
|
表4
反復横とびと他のテストとの相関係数
(勝部篤美・鈴木重夫)
|
前ページ 目次へ 次ページ
|
|