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高齢者の歩行能力に関する体力的・動作学的研究(第2報)
−膝伸展,足底屈,足背屈の筋力と歩行能力の関係−

 結果および考察
 1.体カテスト
 表1-1から表1-3は,昨年(平成9年)度と今年(平成10年)度の体力測定の結果(平均値と標準偏差)を示したものである.体力測定に参加した高齢者は平成9年では男女合わせて58名,平成10年では男女合わせて69名であったが,両年(2年)連続して測定に参加した者は男女合わせて46名であった.平成10年度では,特に体力測定の経年変化を明らかにするために,46名の結果に焦点を合わせることにした.なお表中の(※)の数値は,両年の結果の間に統計的有意差が認められたものである.
 まず血圧に関して,本(平成10)年に測定した46名の最高血圧(Systolic Blood Pressure:SBP)と最低血圧(Diastolic Blood Pressure:DBP)の平均値(±SD)は,133.0(17.4)mmHgと74.7(11.8)mmHgであった.これらの値は昨(平成9)年のそれ(137.8(21,9)mmHg,77.8(13.3)mmHg)と比べてやや低いあるいは同じである.加齢と共に血圧が上昇することはよく知られているが,被検者全員(46名)が60歳以上であることから考えるとむしろ低いと言えるだろう.この理由として被検者の多くの人達は,日常生活でからだを動かす努力をしている(後述),と同時に降圧剤を服用している者も多い.したがって,本実験で得られた血圧の値は,主として運動や降圧剤服用と関係していると思われるが,それらがそれぞれどの程度血圧に関与しているかについては本研究からは明らかではない.
 木村ら(1995)6)は都市に在住し「すこやかスポーツ教室」や「すこやか講座」に参加した40歳から92歳の中・高年者304名を対象に体カテストを行った.その結果,50-59歳,60-69歳および70-79歳男性の長座体前屈の平均値(±SD)はそれぞれ6.9(6.2)cm,1.8(8.1)cmおよび-0.1(7.8)cm,女性のそれは13.8(4.5)cm,14.3(20)cmおよび12.5(24)cmであったと報告している.本測定において2年連続して参加した46名で得られた長座体前屈の結果では,平成9年では男性平均年齢71.6歳で5.3(9.6)cm,平成10年では平均年齢72.5歳で6.2(10.3)cmであり,女性のそれは平均年齢67.7歳で13.6(6.4)cmおよび平均年齢68.7歳で13.8(6.3)cmであった.本測定結果と先の木村らの報告と比べると,女性はほぼ同じであるのに対し,男性の長座体前屈の結果は木村のそれよりややよい.現時点では,何故男性の長座体前屈の結果が木村らの結果より優れていたかの理由については明らかでないが,少なくとも長座体前屈からみて高齢者男性に比べ女性の方が柔軟性は高いといえるだろう.
 平成9年および平成10年における男性46名の開眼片足立ち(One-leg standing with opened eyes)の平均値(±SD)は,58.7(38.9)秒と58.2(36.0)秒であり,女性のそれは53.5(37.9)秒と51.7(36.5)秒であった.平成9年および平成10年における男性46名の閉眼片足立ち(One-leg standing with closed eyes)の平均値(±SD)は,11.1(10.1)秒と15.1(44.9)秒,女性のそれは10.9(8.7)秒と6.4(7.2)秒であった.これらの結果と先の木村ら6)の結果と比べると,開眼,閉眼共に本研究で得られた値の方がわずかに長く片足立ちを継続している.


Table 1-1. Results of physical fitness test in males



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