要 約
下肢筋力と歩行能力の関係を調べるために,40歳から89歳までの女性161名について膝伸展力,足底屈力,足背屈力を測定するとともに自由歩行と最大速度歩行の歩行速度,歩幅,歩調を求め,以下の結果を得た.
1.膝伸展力と足底屈力は60歳以後に低下し,40歳群との比較において60歳群,70歳群,80歳群が有意に低い値を示した.足背屈力では80歳群が40歳群より有意に低かった.
2.歩行速度と歩幅は,自由歩行,全力歩行とも,40歳群から70歳群まで加齢による有意な変化は見られず,80歳群だけが40歳群より有意に低い値を示した.歩調については,自由歩行,全力歩行とも,加齢による変化は認められなかった.
3.自由歩行と全力歩行の速度と歩幅は,下肢筋力がある閾値以下になると低下し,閾値以上では変化しないことが明らかとなり,その筋力閾値は,膝伸展力が250N,足底屈力が400N,足背屈力が150Nであった.歩調については,筋力との関係において,有意な変化は認められなかった.
以上の結果,歩行速度と歩幅には,下肢筋力が密接に関係していることが示唆された.
謝 辞
本研究を行うにあたり,被験者の協力と会場の設営で,木村みさか教授(京都府立医科大学医療技術短期大学部)に多大のご尽力を賜った.記して,深謝の意を表します.
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