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中高年女性の水泳運動中の酸素摂取量に関する事例研究


 水泳競技者を対象とした先行研究により,水泳中の最大酸素摂取量は走運動での最大酸素摂取量の値にかなり近いか8)あるいは,約1割程度低いと報告されている1,5,6,7).これは,水泳運動に使われる筋量が走運動に使われる筋量より少ないことによると考えられている.しかし,これまでの水泳運動中の酸素摂取量を測定した先行研究は,対象者が若年者のみであった.最近,中高年者,特に女性が体力増強あるいは健康増進のために水泳トレーニングを行う例が増えている.また多くの世論調査によりやってみたい運動・スポーツとして水泳が常に上位にランクされている.身体トレーニングの効果を測定する場合,身体トレーニングとその呼吸循環系を含む生体の反応は特異性があるので,トレーニングの効果はそのトレーニングに近い測定方法で測定する方が良いと考えられる.そこで本研究では中高年女性を対象に水泳運動中の酸素摂取量を測定が可能か否かを明らかにし,水泳トレーニングを行っている中高年女性の水泳運動中の酸素摂取量,特に最高酸素摂取量のトレッドミルによる変化を評価することが可能であるかを明らかにすることを目的とした.

 研究方法
 1.対象
 本研究の対象者10名は関東地区在住の40歳以上の中高年女性であった(表1).そのうち,1名(被検者SW)は水泳教室のコーチを行っている女性で水泳トレーニング歴が長い女性であった.また,被検者TK,IG,STの3名は水泳歴10年以上のマスタースイマーグループに属する女性であった.このうち被検者TKは年齢が70歳と高齢であったが,水泳のマスター選手権では常に優勝を狙えるような女性であった.その他の6名の被検者は,会員制水泳トレーニングに参加している4,10),水泳トレーニング歴3年以下の女性であった.実験の開始前に,全ての被検者から,実験の内容を詳細に説明した後,実験参加の同意を得た.


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