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中・高年齢女性のライフスタイルと生き甲斐および体力 −独居者と家族同居者との比較−


 2.運動実施状況と生き甲斐感の有無生き甲斐の対象および精神的ストレス
 運動習慣がある者はI群に30.0%,II群に46.7%みられたが有意差はなかった.実施している運動種目は,散歩およびウォーキング,ラジオ体操,自転車乗り,ヨーガ等が約80%,ジョギング,水泳,テニス等が約20%で,両群の間に統計的相違はなかった.また,1回の運動時間や実施頻度等にも差はみられなかった.
 生き甲斐の有無およびその対象に関する回答結果を,独居者(I群)と家族同居者(II群)別にまとめてFig.3に示した.I群全体の75.0%,II群全体の91.6%が「生き甲斐がある」と回答し,I群がII群より有意に少なかった.生き甲斐の対象として「家族」,「趣味」をあげるI群の者は,II群より有意に少なかった.その他の対象に対する回答率には差はなかった.
 独居者(I群)と家族同居者(II群)を運動習慣の有無で分け,それぞれの生き甲斐の対象を調べると,I-Ex群の全員が「運動」を生き甲斐の対象にあげ,その割合はII-Ex群より多かったが(p<0.05),「趣味」を生き甲斐の対象にあげる者はII-Exに多かった(p<0.05).また,対象として「家族」をあげたのはII-Exにみられた(p<0.05).運動習慣のない者(I-Nex,II-Nex)では,生き甲斐の対象を「家族」と回答するのはII群にみられた(p<0.001).過去に実施した運動の有無とその継続年,飲酒者の割合および飲酒頻度,仕事の有無,喫煙状況にはI群とII群間に有意差はなかった.なお,運動を生き甲斐として行う独居者の運動種目は,その約80%が水泳であった.
 生活目標の有無では,I群(67.9%),II群(69.8%)の者が「生活目標がある」と回答したが両群間に差はなく,運動習慣別にみても差はなかった.生活の目標とする対象は,「親戚」,「奉仕活動」,「趣味」がI群,II群とも40%以上を占めたが,これらの回答結果に両群間で有意差はなかった.生活目標とする対象項目数をみると,Fig,4に示したようにI群はII群より有意に少なく,I-ExはII-Exより有意に少なかった.
 精神的ストレスを感じているかどうかを調べると,I群(50.0%),II群(45.5%)の者が何らかの精神的ストレスを感じ,「精神的ストレスがない」と回答する者もI群(46.4%),II群(51.7%)にみられたが,いずれも有意差はなかった.ストレスの内容は「健康に対する不安」,「病気・怪我」を両群とも30%以上の者があげ,「仕事」,「人間関係」等の回答割合よりも多かったが,両群間に有意差はなかった.しかし,精神的ストレスを感じる対象の数をみると,I-ExはII-Exより有意に多かった.各自が判断した社会に対する貢献度は,I群の59.3%,II群の69.9%の者が「自分は社会に何らかの貢献をしている」と回答したが,両群間に有意差はみられなかった.
 仕事の有無別では,運動実施者の割合,飲酒・喫煙習慣の有無,その頻度および量には差がみられなかったが,仕事のある者の全員が「仕事を生き甲斐」としていた(p<0.01).



□Total(GroupI;Person living alone, n =15)
       (GroupII;Person who lives together with someone, n=97) 
□Nex  (GroupI, n=11;GroupII, n=56) 
□Ex  (GroupI, n=4; GroupII, n=41)
Fig. 3.
Comparisons of the degree of morale (A) and the reasons (B) between
a person living alone (I) and one who lives together with sameone (II), and
between a persan who has a reglllar exercise habit (EX) and one wha does
not have a regular exercise habit (Nex) . Subjects are middle-aged and
elderly females.



□Total (Group I ; Person living alone, n=15)
 (Group 11 ; Person who lives together with someone, n=97)
□Nex (GroupI , n=11; GroupII, n=56)
□Ex (Group I , n=4; GroupII, n=41)
Fig. 4.
Conlparisons in aims of life and mental stress between
Group I and Group II, and between a person who has a
regular exercise habit (Ex) and one who does not have a
regular exercise habit (Nex) . Subjects are middle-aged and
elderly females.



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