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高齢者における継続的な運動・スポーツが体力および情緒・行動面に及ぼす影響
−運動クラブに所属する高齢者の4年後の追跡調査−


   2.体力
 表2には,平成6年と平成10年における対象者の体カテストによる客観的体力と質問紙による主観的体力の成績およびGDS得点を示した.客観的尺度による体力において,両年の測定値間に統計的な差が認められたのは,女性でのステッピング,バッテリーテスト総合点,SSTwの成績である.全体的な傾向としては,垂直とびや握力のような筋力系は4年後に低下する傾向にあったが,他の体力要素,柔軟性(体前屈)や平衡性(閉眼片足立ち),敏捷性(ステッピング)はその限りでなく,平成10年の方がやや高い値を示した.平成6年に対する平成10年の値の比率をみると・垂直とびでは男性90.3%,女性94.9%,握力では男性81.0%,女性99.1%となり,男女ともに4年後に低下しており,その低下率は男性が女性を上回っていた.一方,体前屈(男性140.5%,女性103.8%)や閉眼片足立ち(男性113.2%,女性117.6%)では4年後に値の向上が認められた.なお,バッテリーテストの総合点は,平成6年(男性21.5点,女性22.8点)に比べ平成10年(男性19.7点,女性19.9点)には低下しており,その変化率は男性91.6%,女性87.3%で,女性での平均値の差が有意(p<0.001)であった.
 しかし,SSTwにおいては,男女ともに平成6年(男性258.8m,女性244.9m)より平成10年(男性262.6m,女性263.2m)に高い値を示し,4年後の変化率は,男性101.5%,女性107.6%,女性での平均値の差が有意(p<0.05)であった.また,主観的な体力(主観的活動能力得点)においては,男性では平成6年(15.0点)と10年(14.8点)の平均値にほとんど変化を示さなかったが,女性では平成6年(13.2点)に比べ10年(11.5点)には有意な(p<0.001)低下が認められた.4年後の変化率は,女性(86.5%)が男性(98.6%)を上回っていた.


表2 体力テストの成績および主観的活動能力,GDS得点



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