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在宅高齢者の生活体力と日常生活状況との関連


 要  約
 農山村地域に居住する65歳以上の自立生活を営む全高齢者の77.9%に相当する731名を対象に,身体的生活機能としての生活体力と日常生活状況との関係について検討を行った.調査項目は生活体力(起居,歩行,手腕作業,身辺作業の総合動作時間),基本属性(性,年齢,配偶者の有無,同居家族数,最終学歴),生活習慣(睡眠時間,朝食,間食,塩分摂取,飲酒,喫煙,散歩・体操,運動・スポーツ,趣味・稽古事,仕事,家事)である.解析は生活体力を目的変数,各生活状況に関する項目を説明変数とする共分散分析および多重分類分析を行った.なお,多重分類分析においては男性では年齢,脳卒中の既往歴の有無,身体の痛みの有無を,女性では年齢,配偶者の有無,最終学歴,身体の痛みの有無をそれぞれ共変量とした.その結果,以下のことが明らかとなった.
 1)基本属性については,男性では年齢が若い者ほど,女性では年齢が若く,配偶者を有し,最終学歴が高い者ほど生活体力が高い関係が認められた.
 2)生活習慣については,男性では睡眠時間が短く,趣味・稽古事をよく行う者で,女性では睡眠時間が7〜9時間未満で,運動・スポーツをよく行う者でそれぞれ生活体力が高い関係が認められた.
 以上の結果より,男性高齢者では年齢が若く,睡眠時間が9時間を越えない者,趣味や稽古事をよく行う者で,女性高齢者では年齢が若く,7〜9時間の睡眠をとり,運動やスポーツを定期的に行っている者でそれぞれ生活体力が高い関係にあることが示唆された.

 謝  辞
 本研究は東京都老人総合研究所の長期プロジェクト研究「中年からの老化予防・総合的長期追跡研究」の一環として行われたものである.本研究実施にあたり,多大なご支援を頂きました東京都老人総合研究所の柴田博先生に心より感謝いたします.また,本研究をまとめるに際しご協力いただいた東京都老人総合研究所地域保健部門の渡辺修一郎先生,並びに調査に参加された研究者の方々,関係各方面の方々に深く感謝いたします.


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