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在宅高齢者の生活体力と日常生活状況との関連

 本格的な高齢社会を迎えたわが国においては,重要課題となってきた.そのような社会を築くた真に豊かで活力のある長寿社会づくりが国民的なめには,疾病を予防し余命の延長を図るだけでなく,活動的な余命6)の延長を図り生活の質(QualityofLife:QOL)を維持する保健活動が重要となる.このような保健活動の目標は,より多くの高齢者が長期にわたり自立した日常生活を営み,積極的な社会参加を可能とすることである.そのためには,加齢に伴う身体活動能力の低下や障害を予防し,身体的な生活機能としての生活体力1,10)を維持増進することが重要となる.高齢者の生活体力を維持増進する対策を考えるにあたっては,生活体力がどのような背景要因と関連し,社会的および心理的な生活機能とどのように相互に関連し合い,さらにはQOLの上位概念である主観的な健康度,生活満足度,および幸福感とどのように関連しているかを明らかにすることが必要と思われる.そして,そのような関連要因について検討する際には,一部の特殊な高齢者集団を対象とするのではなく,地域代表性のある高齢者集団を対象として実施することが重要である.
 我々は前回の研究3)において,地域に居住する65歳以上の在宅高齢者で自立した生活を営んでいる者全てを対象とし,身体的生活機能としての生活体力と背景要因の一つである身体的な健康状態との関係について包括的な検討を行った.今回は,生活体力のもう一つの重要な背景要因である日常生活状況としての基本属性や生活習慣と生活体力との関係について検討することを目的とした.

 研究方法
 1.調査の対象者
 本研究の調査対象者は,前回の報告3)と同じ秋田県仙北郡南外村に居住する65歳以上の全住民のうち,寝たきり者および虚弱な者85名,入院・入所者34名,および長期不在者14名を除く938名とした.そのうち会場調査に参加し,生活体力の測定を行った731名(男性296名,女性435名)を本研究における解析対象者とした.したがって,本研究における解析対象者は全調査対象者の77.9%であった.本研究における解析対象者の性・年齢階級別度数および平均年齢を表1に示した.なお,本研究の実施にあたっては,東京都老人総合研究所の倫理委員会の承認を受け,老人保健法に基づく住民検診の一環として南外村との共同事業として実施した.


表1 解析対象者の性・年齢階級別度数(人数)および平均年齢(歳)



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