日本財団 図書館


ジュニアユースサッカ選手に対する10ヵ月間のトレーニングの影響


 要 約
 某Jリーグチームの下部組織のジュニアユースサッカー選手を対象に,10ヵ月間にわたる週5回,1回90分のサッカーのトレーニングが選手の形態的および機能的特徴に与える影響について検討した.主な結果は以下のとおりである.
 1.身長と体重は有意に増加し,皮下脂肪厚は8ヵ所中5カ所で有意に減少した.
 2.等速性脚伸展力・屈曲力と脚伸展パワーは有意に増大したが,体重あたりの値では右脚屈曲力と左脚伸展力のみが有意に増大した.
 3.30m走と50m走は有意に増加した.
 4.Vo2maxおよびVEmaxは有意に増大したものの,Vo2max/wtは有意に減少した.
 以上より,10ヵ月間のトレーニングの影響は,体重の増加には除脂肪体重の増加が優勢にあったものと推察される.機能的特徴については,全般に高いレベルでの体力維持には効果的ではあったものの,顕著な増大効果は見られなかったものと結論づけられる.

 文  献

 1)Ekblom, B.: Applied physiology of soccer.Sports Med. 3:50-60,1986.

 2)北川薫たち:ジュニアユースサッカー選手の体力と栄養摂取.体育科学27:40-45,1998,

 3)喜熨斗勝史たち:Jリーグユース・ジュニアユースチームのフィジカルチェックに関する調査.Pp.45-54.第16回サッカー医・科学研究会報告書,1996.

 4)小林寛道:日本人のエアロビック・パワー−加齢による体力推移とトレーニングの影響−.pp,20-38.杏林書院,1986.

 5) Krahenbuhl, G.S., et al. : Developmental aspects of maximal aerobic power in children. Exerc. Sport Sci. Rev. 13 Terjung, R. (ed.), American College of Sports Medicine Series, Macmillan Publishing Company, 503-538, 1985

 6)宮城修たち:サッカー選手の試合中の運動強度と移動動作様式に及ぼす無酸素性および有酸素性トレーニングの効果.バイオメカニクス研究1:16-24,1997.

 7) Rowlaud, T.W. : Aerobic response to endurance training in prepubescent children : a critical analysis. Med. Sci. Sports Exerc. 17 : 493-497, 1985.

 8)四倉正博たち:少年サッカー選手の総合的体力評価r第二報有酸素性&無酸素性パワーの経年的評価一.Pp.103-106.第11回サッカー医・科学研究会報告書,1991.

 9)戸苅晴彦たち:ワールドユースサッカー日本代表候補選手の体力とトレーニング効果について.東京大学教養学部体育学紀要14:37-40,1980.

 10)東京都立大学体育学研究室(編):日本人の体力標準値第4版.pp22,56,133,238,241,275.不昧堂,1989.

前ページ    目次へ    次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION