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中学生女子バレーボール部員の部活動への意識と部員一顧問間の相互理解度との関連


6.理解度0%の事例
 部員理解度,顧問理解度についての主観的評価において,0%という評価は顧問一部員という関係からはありえないという判断から,今回の全体的な集計からは除外したが,部員の主観的評価による部員理解度0%並びに顧問理解度0%については同一の3名の部員,顧問の主観的評価による部員理解度0%,顧問理解度0%についてはそれぞれ17名,16名の部員に対しての評価で見いだされたが(16名は同一部員),サンプル数が少ないために統計的処理は行わなかった.部員の主観的評価では,2年生・3年生それぞれ1名ずつの学校と,1年生1名の学校があった.それに対して,顧問の主観的評価では1校(1名の顧問)においてみられ,すべて1年生に対してであった.

 考  察
 1.部員一顧間間の相互理解度と部員の部活動への意識との関連について
 1)部員の主観的評価と部活動への意識との関連
 顧問からどの程度理解されていると感じているか,顧問をどの程度理解していると感じているかについての部員の主観的評価が高いほど,部活動への意識の多くのカテゴリーでの得点が高くなっていた.これは,運動部で活動する部員にとってわかってもらっている,わかっているという意識がいかに大切であるかを示唆するものと解釈することができる.

 2)顧問の主観的評価と部活動への意識との関連
 部員からどの程度理解されているか,部員をどの程度理解しているかについての顧問の主観的評価と部員の部活動への意識との関連は,部員の主観的評価の場合とは異なり,必ずしも主観的評価の高さが積極的な意識につながっていなかった.むしろ,消極的な方向への関連が見いだされている.とりわけ,部への満足感や今後のバレーボール継続意欲については,顧問が相互理解を高く評価した者の方が低い意識となっている.これを単純に解釈すれば,顧問がよりょく理解し,理解されていると感じている場合ほど,部員の満足感や競技継続意欲が減少するということになってしまうが,逆に,何らかの問題があると感じた部員に対するほど理解し,理解されようとしている顧問の姿勢の現れであるとも解することができる.本研究のデータからはその判断は困難であるが,少なくとも,顧問が,わかっている,わかってもらっていると安易に思いこむことがないよう留意することの重要性は示唆されていると考えることができる.

 2.部員一顧問間の相互理解とTSMI尺度得点との関連
 1)部員の主観的評価とTSMI尺度得点との関連
 部員一顧問間の相互理解に対する部員の主観的評価の高さは,部活動への意識と同様にTSMIの尺度得点の多くと積極的な関連が見いだされた.わかりあっているという部員の意識が競技意欲の多くの側面にも好影響を与えていると解することができる.

 2)顧問の主観的評価とTSMI尺度得点との関連
 部員一顧間間の相互理解に対する顧問の主観的評価の高さは,部員の主観的評価の場合に較べてTSMIの尺度得点に反映されていなかった.主観的評価が高いほど望ましくない得点となる尺度もいくつかあり,ここでも,部員一顧問間の相互理解についての顧問の主観的評価は,部員の主観的評価とは異質な側面を持っていることが示唆されている.



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