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プロジェクトのねらいとまとめ(青少年体力向上対策専門委員会)


落合たちの報告について
 この報告は,運動部活動における部員と顧問指導者の相互理解に着目し,相互理解のあり方と部員の部活動への意識,競技意欲との関連を 明らかにしょうとした社会心理学的研究成果である.結果は次のようにまとめられている.
 1.部員一顧問間の相互理解に対する部員の主観的評価の高さは,部活動への積極的な意識や望ましい競技意欲と関連を持つものであった.  2.部員顧問間の相互理解に対する顧問の主観的評価の高さは,必ずしも積極的な意識や望ましい競技意欲と関連を持っておらず,いくつか の側面においては逆に消極的な方向と関連を持っていた.
 3.部員一顧間間の相互理解についての部員ならびに顧問の主観的評価は,部員の学年の進行とともに増大する傾向にあった.
 4.部員理解度ならびに顧問理解度についての部員の主観的評価と顧問の主観的評価には差がみられ,顧問の主観的評価がより大きかった.
また,この差は学年が進むほど増大する傾向を示していた.
 5.部員理解や顧問理解に対する部員と顧問との主観的ずれが小さいほど,部活動への意識や競技意欲が望ましい方向となる傾向が認められた. 落合たちは,前報において,部員の心理的特徴に関する指導者への情報提供の有効性を論じるという他とは異なる視点からの研究成果を示してい る.本報もそれに関連するものであるが,特に,まとめの3,4,5は前年度研究の結果の一般化の可能性を示すものであったという重要な知見を述べ ている.
自然科学的立場で行われている青少年体力向上対策専門委員会の研究のなかでの社会心理学的視点からの本報告は,青少年の体力の向上に今後も 大きな役割りを果たすと考えられる部活動のあり方に貴重な提言を与えるものであろう.


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