プロジェクトのねらいとまとめ(青少年体力向上対策専門委員会)
金久たちの報告について
本報告では,運動部活動としてサッカーを中学校期から継続している高校生男子を対象に,下肢筋群の筋厚と筋力および間欠的スプリント
走時の発揮パワーを測定し,発育期における特定のスポーツ活動への参加が筋の形態と機能に及ぼす影響を検討したものである.得られた
結果は以下のように報告されている.
1.大腿および下腿の筋厚と等速性脚伸展力および屈曲力に,学年による差は認められなかった.また,サッカーオリンピック代表選手および
一般成人男子との比較において,本研究の被検者はオリンピック代表選手に比べ大腿筋厚が低い値であったが,一般成人より大腿前部・後
部の筋厚で高い値を示した.
2.間欠的全力走における1試行毎の体重当たりの平均パワーは特に後半において上級生が1年生よりも高い値を示し,パワーの低下率も上級
生が1年生よりも低かった.
以上の結果は,高校期における運動部活動レベルでのサッカーの実施は,実施者が中学校期からの経験者である場合に,筋の形態および最大
筋力に対する効果は低いものの,間欠的全力運動におけるパワーの持続性の改善には有効であることを示唆するものである.
本報告は27巻に記載された研究を継続したものである.青少年期における無酸素性パワーの発達についての報告は少なく,特に,間欠的全力
運動時の発揮パワーの発達過程についての報告例は無いようである.したがって,本報告はこの領域での研究の嚆矢としての意義を持つも
のである.また,本研究の対象者が特別に高度の練習を強いられているサッカー部員ではないようなので,一般的高校運動部活動が高校生の
体力に及ぼす影響を検討したという点に研究の意義があるとみることができよう.
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