図 1 「体育科学センター方式・健康づくり運動カルテ」の強度・時間の組合せによる処方図
4.歩・走運動による運動処方
体育科学センターは、これまでの研究により、上に述べたような運動効果すなわち持久力の向上に有効な運動の強度、時間、頻度
の望ましい条件を明らかにし、これにもとづく歩・走運動による運動処方を公にした(1976)。その具体的処方図は図1に示す通り
である。ここでは、運動の時間を最短5分間、最長1時間としている。最短の5分間は、呼吸・循環器系が運動に適応できる必要時間か
ら求められたものであり、最長の1時間は、一般の人の生活の中で用意できる最長の時間として設定されたものである。そして、こ
の時間の範囲で、効果が期待できて、しかも、危険やそれほどの苦痛、困難をともなわないで実施できる運動強度と時間の組合せが
図中に示してある斜線の範囲である。斜線に幅を持たせたのは、運動に参加する人の体力レベル、年齢、性、運動の目的、利用できる
時間、性格や好みなどを考慮に入れて、斜線の中から適当な1点を選んで強度と時間の組合せができるようにするためである。
体力レベルの低い人やしばらく運動をしていなかった人は、まず軽いトレーニングから始めるのがよく、体力の高い人や日頃運
動をやっている人は強いトレーニングを選んでよい。
青少年では、一般に、時間を短くして強度を高くし、中・高年者は強度を低くして時間をかけるという組合せが適当である。また
、レベルの高い持久力の向上を第1に目指すなら強度を大きくするのがよいし、肥満の解消のために消費カロリー量を大きくする
ことを狙うならば、強度を小さくして時間を長くするという組合せを選ぶ必要がある。
なお、はやい「いそぎあし」、ゆっくりの「かけあし」が60%Vo2max程度の強度に相当する。
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