4. 幼児における調整力の構造とその発達
体育科学センター・プロジェクトの一貫として、幼児の調整力の発達とそれに関与する条件の検討を行ったが、ここでは、
その資料から、この調査研究でとりあげた運動パターンから考察される限りでの調整力の構造について報告する事にする。
表1の通りの46項のパターンを幼児の母親に自分の子供が「出来る」「出来ない」という形で返答してもらい、この資料
からノンパラメトリックな方法で相関係数を求め、(46×46)相関行列をまず年齢別、性別に作成した。しかし、年齢別の相関行
列は解析に堪えないほどあるパターンについて、反応の変異が少ないので、全年齢をプールして、性別に相関行列を作り直し、
それを主因子解法によって因子分析し、ノーマル・ベリマックス法にて直交回転をほどこし、多因子解を求め、因子を解釈し
たものが、つぎの通りである。
〔男 子〕
1.全身調整力と知的能力の発達
2.感覚との協応を含む調整力
3.手の調整力と知的能力の発達
4.下肢の調整力
〔女 子〕
1.全身調整力
2.知的能力の発達
3.下肢の調整力
4.手の調整力
この様に、年齢は4〜9歳までの幼児、児童前期の標本を、男子1289、女子1259、幼稚園20園、小学校9校にわたって抽出して全年齢
をプールして検討した所、前述のような結果を得た。
男子では知的能力の発達が全身調整力と手の調整力とに結合されて因子を構成しているが、女子では知的能力は別の因子と
して抽出され、調整力の構造に関する性差を示していた。すなわち、女子は男子に比べ、身体的運動成就の能力と知的能力の発達
とが、より分化しているということが推測される。
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