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 2.調整力と学習可能性(Learming potentials)との関係

 McCloy,C.H.は運動技能の有効な学習に関与する要因として、つぎの5つをあげている。
 (1) Sensory motor coordination ? , coordination of eye and hands, head, feet, etc.
 (2) Sensory motor coordination ? ; The adaptation of weight and force.
 (3) Ability to coordinate a complex unitary movement.
 (4) Ability to coordinate a complex series or combination of movements which follow one another in rapid succession.
 (5) Arm control
 この5つの要因は調整力の諸側面であるといえる。MethneyはEducability testで知られているジョンソンテストを因子分析して、 Educabilityの要因は
 (1) Speed of movement.
 (2) Strength to handle own body weight.
 (3) Motor educability,
であるとしている。しかし、(3)のmotor educabilityと解釈された因子に高い相関を示している変量は、テスト運動の成就に四肢、 感覚の協調をとくに必要とするものであることから、motor coordinationと解釈することができる。この意味から、Methneyの結 果を考え直すと、運動の速さ、自己の体重を取り扱うに必要な筋力、および運動協調能力が学習可能性の要因であるといえよう。
 また、Educability testの1つであるBrace testは、いろいろなスタンツの成功、不成功を基準として学習可能性を推定しようと するものであるが、Brace自身、このテストで測定されるであろう能力はbalance、coordination、control、agility、accu-racy、steadiness であると述べている。すなわち、Braceも学習可能性の推定には調整力が重要な要因となっていると考えている訳である。さら に、Braceは、このテストの結果とスポーツ・タイプ・テストとの間には高い相関が認められないと述べている。これは、Bracetest がスタンツ・タイプの運動パターンの成就を要求しているのに対し、スポーツ・タイプ・テストは走・跳・投という異なった 運動パターンの成就を要求している事から、両テスト運動パターンの成就に要求される調整力がそれぞれ異なっているというこ とを示す1つの資料と考えられる。
 また、職業適性検査の領域では、Singerの報告によれば、
 complex coordination test ; パイロットとしての成功と0.4
 Hand-Tool Dexterity test ; 機械工としての実際の技能と0.46
 Metal Filling work sampIe;歯科コースの成績と0.53と、いわゆるFine motor coordinationと職業における成績や職業能力との 相関を検討している。このように、現在の調整力は学習可能性、または将来における能力の予測に役立つという特徴をもって いると考えられる。しかし、調整力はあくまでも、ある運動パターンに特有なものであって、テストされた運動パターンと同類 の運動形式の学習可能性に関与していると理解すべきであろう。
 Fine motor coordination test ⇒ Fine motor learning
 Gross motor coordination test ⇒ Gross motor learning



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