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 2.身長で補正した歩行指標
 身長は男女とも高齢群が若年群よりも低く(p<0.001)、その差は男性で7.1cm、女性で13.0cmであった。表2に身長を170cmと 仮定したときの歩行指標の平均値と標準偏差を示した。身長差を考慮すると歩行速度は、男性の場合、高齢群の方が若年群より 有意に遅かったが、女性の場合は、有意差が見られなかった。歩幅は、身長で補正すると、高齢群と若年群の差がなくなった。歩調 については、実歩調では高齢群と若年群に差が見られなかったが、身長で補正すると、男性において有意差(高齢群く若年群)が みられた。最小爪先高については、高齢群が若年群より大きな値を示していたので、身長で補正するとその差は拡大した。重心 動揺では、上下、左右動ともに、身長差を考慮しても、有意差は見られなかった。
 図6に身長差を消去した歩幅、歩調と歩行速度の関係を示した。男性の場合は身長差を考慮しても大きな変化は見られなかっ たが、女性の場合、実測値で示した高齢群の小さな歩幅と速い歩調の傾向が消失し、若年群とほぼ同一の回帰直線を示した。歩 隔、最小爪先高、重心動揺については、身長差を考慮しても、速度との相関関係に変わりがなく、高齢群と若年群の差も変化しな かった。また、身長差を考慮した重心上下動と歩幅、重心左右動と歩隔の関係も、実測値の場合と同様であった。

表2 身長で補正した各測定項目の平均値と標準偏差,補正の仕方は本文参願.
有意差は高齢群と若年群の比較で,nsは有意差なし. *はp<0.05,**p<0.01,***p<0.001を示す.



図6 身長で補正した歩隔、歩調と歩行速度の関係。白が若年群、黒が高齢群を示す。
若rは若年群、高rは高齢群の相関係数。**p<0.01、***p<0.001。


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