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 6.姿勢調節能力指標と筋力指標との関連
 姿勢調節能力指標として測定した開・閉眼重心動揺測定値(LNG、LNG/T、LNG/sec)、開・閉眼片足立ち保持時間および開・閉眼 時測定値の比と、筋力指標とした背筋力、比背筋力、握力および比握力について、それぞれ単相関分析をおこなった。しかし、姿勢調 節能力指標と筋力指標いずれの測定項目間にも有意な相関係数は与えられなかった。つまり、重心動揺測定値や片足立ち保持時 間と握力や背筋力測定値とは直接的関連はない、ということが示された。

 7.運動歴と姿勢調節能および筋力との関連
 本研究の被検者48名のうち、中学時代のみ運動部に所属した者(n=18)および中学・高校時代を通して運動部に所属していな かった者(n=13)を非運動群(N-Ex群;n=31)、高校時代または中学・高校時代を通して運動部に所属していた者を運動群(Ex群;n= 17)として区分し、重心動揺、片足立ち保持時間および握力、比握力、背筋力、比背筋力を比較した。まず、Ex、N-Ex群の身長、体重はそ れぞれ158.2±4.9、157.8±5.3cm、50.8±6.2、51.3±5.7kgであり、2群間にまったく差異はなかった。
 重心動揺測定値,片足立ち保持時間および比握力、比背筋力について図1に示した。同図から明かなように、閉眼時と開眼時の LNG/E.A.比のみEx群が有意(p<0.05)に低値であった。その他の重心動揺測定値には2群間にまったく差異がなかった。一方、開眼 片足立ち保持時間には2群間にまったく差異はなかったが、Ex群の閉眼片足立ち時間が有意(p<0.05)に長く、したがってロンベ ルグ比もN-Ex群に比較し有意(p<0.05)に高値となった。
 握力は2群間にまったく差はなく、背筋力はEx群がやや高値であったが、有意差はなかった。これらの筋力測定値は体重と相関 したので体重あたり握力(比握力)および背筋力(比背筋力)を算出し、Ex、N-Exの2群間で比較した(図)が、有意な差は認められなか った。

Flg. 1. Effect of exercise history in high school days on postural sways in the normal Romberg position and one-leg balancing with opened and closed eyes, and back strength per body weight (Back strength/ BW) and grip strength per body weight (Grip strength/BW) . C/O ; ratio of measurements with closed eyes to measurements with opened eyes.


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