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 (1)牽引力の検出
 フォーストランスデューサから検出された張力をアンプにより増幅させた後、AD変換器(Ma-cLab)によりデジタルデータに変 換後、サンプリング周波数200Hzにてパーソナルコンピュータに記録した。フォーストランスデューサのキャリブレーションは、ロ ッドを垂直に吊り下げることにより行った。

 (2)ベルト速度の検出
 エルゴメータのベルト速度は、エルゴメータ前部のドラムに取り付けたスピードメータにより検出されるドラム回転速度から 算出した。ベルト速度のキャリブレーションは、エルゴメータのベルトに5cm間隔でマーキングし、ハイスピードビデオカメラ(NA C社製)での撮影(200Hz)によって求めたベルト速度との比較により行った。ドラム回転速度から求めたベルト速度とカメラ撮影に よるそれとの間には、r=0.998の相関関係があり、両計測値間の差は3%以内であった。したがって、ドラム回転速度をベルト速度とし て計測した。また、エルゴメータによる全力走の妥当性を検討する意味で、成人15名を被検者として、屋外での50m走の平均速度と10 秒間全力走をエルゴメータで実施した際のベルト速度との関係について検討した。その結果、両測定値間にはr=0.940の相関関係が 認められた。

 (3)走パワーの算出
 1)および2)の方法により同期して求めた牽引力とベルト速度の掛け合わせた値を走パワーとして算出した。走パワー測定の再 現性をみるために、7名の被検者に10秒間の全力走を日を変えて2回行わせ、走行中の平均パワーを求めた。その結果、1回目の平均 パワーと2回目のそれとの相関関係はr=0.990であった。

 3.テストプロトコル
 本研究では、間欠的全力運動として、5秒間の全力走を10秒間の休息を間に挟み10回反復するという作業様式を採用した。測定の 実施に際し、被検者にはエルゴメータ上での動作遂行に慣れるために、まず歩行動作を行わせ、続いて3分間から5分間の最大下努 力での走動作を実施させた。エルゴーメータ上での最大下努力による試行に十分慣れた後、最大下努力から最大努力に近い状態ま で徐々にペースをアップさせる走動作を、休息を挟み2〜3回行った。それら一連のウオーミングアップが終了した後、5秒間の全力 走を10秒間の休息を間に入れて2回実施することで、被検者にテスト中の運動と休息の時間の長さを確認させ、スタート直後から の全力走の徹底を図った。
 以上の手順がすべて終了した1時間後に、上記のプロトコルに基づく間欠的全力走を実施した。運動実施中の測定パラメータと して、5秒間の平均牽引力(MF)、平均ベルト速度(MV)および平均パワー(MP)を各試行毎に求め、MFおよびMPは体重当たりの値(MF/ WtおよびMP/Wt)で評価した。さらに、各測定パラメータについて、10試行中の最大値と最小値から{(最大値一最小値)}/最大値×100 により低下率を算出した。

 4.統計処理
 統計量はすべて平均値±標準誤差で示した。差の有意性は、グループ間の場合にMann-Whitneyの方法により、またグループ内に 関してはWil-coxnの方法により検定し、いずれも5%水準で有意とした。



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