3.運動量・エネルギー摂取量・蛋白質摂取量と本研究の調査との関連について
運動量に関わるデータと本研究の調査結果との間の相関は有意でなく、エネルギー摂取量、蛋白質摂取量と本研究のルーズな生
活態度(TSMI下位尺度)との間に有意な負の相関が見られた。ルーズな生活態度は、得点が低いほど生活に節度があることを示す尺
度であり、食生活においても栄養を考慮したものとなっていたと推測することができる。運動量と練習意欲などとの相関が有意で
なかったことは、両者に関連がなかったと解するだけではなく、ポジション等の条件の運動量への影響などの視点を含めて検討す
ることが必要であろう。
要 約
部員の意識や心理的特徴に関する情報提供が、指導上参考になるとの顧問からの評価を得た。手がかりとして有効であるとして
顧問が指摘した頻度は、バウム-テスト、TSMI、部員へのアンケート、SPTTの順であった。
本研究では、部活動への意識や競技意欲、さらには顧問との相互理解の程度において学年差がみられ、1年生が2年生より有意に望
ましい状況であった。この原因は、2年生にとっての指導者の交代に求められるのではないかと推測される。
TSMI下位尺度であるルーズな生活態度と栄養摂取量との間で有意な相関が見られ、同尺度が食生活おける栄養摂取の状況とも
関わりをもつことが示唆された。
(注1)スポーツチームのメンバーが、自分の所属しているチームについてどのような意識を持っているかを測定しようとする
テストで、「コーチ信頼」、「チーム有能感」、「メンバー関係」の3つの尺度で結果を表すことができる。
(注2)対象が中学生であることを考慮してTSMIのNo.141「たばこなどからだの害になるようなものは、なるべく避けるように
している。」を「食べ過ぎ、飲み過ぎ、睡眠不足など体に悪いものは、なるべく避けるようにしている。」に変更した。
(注3)バウム-テスト
A4判の白紙に鉛筆で木の絵を描く課題を課し、描かれた木の特徴からパーソナリティを診断しようとする投影法によるパーソ
ナリティ-テストである。
(注4)文章完成法テスト
書き出しの部分のみが示された未完成な文章を完成させ、完成された文章の特徴からパーソナリティを診断しようとするパーソ
ナリティ-テストである。本研究では、パーソナリティ-テストとして使用するのではなく、バウム-テストの解釈のための補助
情報を得ることを主たる目的として使用した。
なお、両親がそろっていない部員が対象者の中にいる、他の調査項目と情報が重複する部分がある、表現をよりわかり易くする
という理由から、以下のような変更を加えて実施した。
(項目の削除)以下の項目を削除した。「御飯のとき」、「弟は」、「妹は」、「運動」、「私の服」、「お父さん」、「友だちの家庭に
くらべて私の家庭は」、「男の友だち」、「女の友だち」、「大人」、「先生は」、「働くこと」、「兄」、「姉」、「本」、「お母さん」
、「お金」、「私の父の仕事」、
(項目の変更)項目の刺激語に以下の変更を加えた。
「私がはずかしい思いをしたのは」を「私が恥ずかしいと思うことは」に変更、「私のしくじりは」を「私の失敗は」
に変更。
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