日本財団 図書館


要  約
 成長期で、サッカー部に所属して活動量の多い日常生活を過ごしていると思われる男子中学生の栄養摂取状況の実態を 把握することを目的として、連続した3日間にわたりレンズ付きフィルムを利用した食事記録調査を行い、食品群別摂取状 況、エネルギーならびに栄養素摂取状況を検討した。
 体重当たりのエネルギーならびにたんぱく質摂取量、および摂取エネルギー1,000kcal当たりの栄養素密度からみた栄養 摂取水準は、所要量の摂取目標量と比較して、個人差はあるものの平均すると概ね良好な水準であると考えられた。しかし 問題点として、脂質の過剰摂取、カルシウムが相対的に摂取不足になるような食品選択の偏り、食物繊維の摂取不足が明らか になった。このような栄養摂取の問題点の背景として、油料理や肉類への偏り、穀類や野菜などの植物性食品の摂取不足が考 えられた。食習慣の自立期でもある中学生期に、将来の健康につながるような適切な食習慣を身につけるための食教育を実 施することが急務であると思われる。

文  献
1)赤星隆宏たち:中学生の健康に関する知識と生活様式についての疫学的研究。民族衛生58:87−98、1992。

2)細谷圭介:和歌山県および大阪府下の中学生の食習慣と食生活意識についての調査。栄養学雑誌46:139-148、1988。

3)池田順子たち:中学生の食生活、生活習慣と血液性状および疲労自覚症状との関連。日本・栄養食糧会誌47:131-138、1994。

4)門田新一郎:中学生の健康状態と食生活との関連について。栄養学雑誌45:209-222、1987。

5)北野直子たち:小中学生における肥満と食生活・生活習慣との関連。栄養学雑誌48:11−21、1990。

6)厚生省:第五次改定日本人の栄養所要量。1994。

7)厚生省保健医療局健康増進栄養課:健康づくりのための食生活指針一対象特性別。pp.20-30、第一出版東京、1990。

8)厚生省保健医療局生活習慣病対策室:平成8年国民栄養調査結果の概要。1998。

9)小野三嗣たち:運動と食事摂取の生徒の体格、運動能力に及ぼす影響について。体力科学20:181-189、1971。

10)佐藤有紀子:中学生の食品摂取状況と食生活習慣との関連。学校保健研究39:299-307、1997。

11) Richmond. J.B. and Koetichuck. M. : Per-sonal health maintenance for children, In Personal health maintenance (Special Issue) . The Western J. Medicine 141 :816-823、1984。

12) Willett, W. (田中平三監訳):食事調査のすべて一栄養疫学-。pp.59-79、第一出版:東京、1996。

13) Young, L.R., et al. :Portion sizes in dietary assessment : issues and policy implications. Nutrition Reviews 53:149-158、1995。


前ページ    目次へ    次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION