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研究結果

 食品群別摂取量を、区分別食品構成表(2,600kcal/日の場合)6)を併記して表3に示した。食品の取り方で特徴的 な点は、1、2年生いずれも、肉類、乳類といった動物性食品や油脂類を多く摂取していたのに対し、穀類、豆類、その 他の野菜などの植物性食品の摂取量が少なかったことである。
 食事記録からみた栄養摂取状況を表4に示した。エネルギー、たんぱく質、ミネラル類およびビタミン類の平均摂取 量そのものは、1、2年生共、いずれも所要量を上回っていた。総エネルギー摂取量に占める脂質エネルギー比は、この年代の望 ましい摂取比率(栄養所要量)が25〜30%であるのに対し、1年生が33.2±4.0%、2年生が32.9±3.2%であった。総たんぱく質摂 取量に占める動物性たんぱく質の割合(動蛋比)は、第五次改定栄養所要量にて40〜50%が望ましいとされているのに対し、 対象集団の動蛋比は1年生が58.2±4.8%、2年生が56.6±5.5%であった。食物繊維は第五次改定栄養所要量6)で新たに目標摂取量 が示された項目であるが、1日20〜25gの目標量に対し、1、2年生共、その2/3程度の量しか摂取していなかった。一方、対象者には、 朝食の欠食が1例もみられなかったが、1日の総エネルギー摂取量に占める朝食、昼食、間食、夕食のそれぞれのエネルギー摂取割 合では、朝食のエネルギー比が22±4%、2年生が23±5%と、昼食や夕食のエネルギー比に対して少なかった。
 体重当たりの栄養摂取量ならびに栄養素密度を表5に示したが、このうち体重当たりのエネルギーならびにたんぱく質の摂取 量は、第五次改定栄養所要量6)記載の推計体重をもとに換算したそれぞれの目標摂取量よりも多かった。栄養素密度からみた所要 量(表2)に対する充足率は、図1に示した。たんぱく質やビタミン類が所要量を充たしていたのに対し、カルシウムならびに鉄は、 充足率がそれぞれ90%以上であったとはいえ所要量に達していなかった。一方、食物繊維の目標量に対する充足率は、50%程度に しか過ぎなかった。また、体重当たりのエネルギー、たんぱく質、カルシウムの摂取量に関して、それぞれの頻度分布を図2に示した。
 栄養摂取水準と食品の取り方との関連性をみるため、体重当たりの栄養摂取量や栄養素密度からみた充足率といった栄養摂 取水準と食品群別摂取量との相関係数を表6に示した。例えば、国民栄養調査結果8)からも若年層の栄養摂取上の問題として指摘さ れている脂質のとり過ぎに注目してみると、対象者の脂質エネルギー比と食品群別にみた食品の取り方との関係からは、油脂の摂取 (r=0.61、p<0.01)だけでなく、肉類の摂取(r=0.38、p<0.05)、動物性たんぱく質比(r=0.42、p<0.01)との間に正の相関が、一方、穀類エネ ルギー比(r=-0.45、p<0.01)との間に負の相関がそれぞれ認められた。

表3 食事記録からみた1日当たりの食品群別摂取量



表4 食事記録からみた1日当たりのエネルギーならびに栄養素摂取量

表5 食事記録からみた体重1kg当たりならびに摂取エネルギー1,000kcal当たりの栄養素密度



図1 栄養素密度からみた栄養所要量に対する充足率
所要量としてはまだ策定されていないものの、目標摂取量が示されている



図2 体重当たりのエネルギー,たんぱく質ならびにカルシウム摂取量の頻度分布(n=39)



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