痴呆による日常生活の自立度をみると、痴呆が多少あっても誰かが注意していれば自立できるものが約30%、痴呆が時々みられ介護を要するものが約30%、痴呆のために常時介護を要するものや専門医療を要するものが約25%で、残りが何らかの痴呆を有していても日常生活がほぼ自立しているものであった。身体的には日常生活がほぼ自立しており独立で外出できるものが40%弱であった。さらにADLについてをみると、移動や食事が比較的自立している一方(約60-70%)、入浴、着替、整容、排泄の自立度の低さ(約30-50%)が目立った。約86%のものが少なくとも1つ以上の医療機関を受診しており、その約8割が内科を受診していた。疾患名で最も多かったのは高血圧(約78%)であった。つぎが老人性痴呆症(約31%)で、以下、脳卒中(約17%)、心臓病(約12%)、糖尿病(約7%)の順であった。
被介護者の背景要因を表2に示した。主介護者は女性が多く(約80%)、年齢は60歳代、50歳代、70歳代(約70%)を中心に、平均年齢61.1±13.7歳であった。そのほとんどに(約80%)に配偶者があり、約半数は有職者であった。有職者の約半数は自営であった。職種は農林漁業が最多(約30%)で、つぎに営業販売、技術専門、事務、サービスが多かった。勤務時間をみると、週50時間以上の長時間勤務をするものは少なく、主介護者であっても有職者の8割以上が従来通り勤務を続けていた。しかしながら無職者のうち約18%に介護のために仕事をやめたものもいた。介護休暇を取っているものは皆無であった。主介護者も半数以上が1つ以上の医療機関を受診しており最多は内科(約40%)で、疾患名で多いのは高血圧(約20%)であった。
介護の状況を表3-1および表3-2に示した。続柄(被介護者は主介護者にとって何にあたりますか?)は、主介護者にとって親が約60%(義母約34%、実母約20%)、配偶者が約30%(夫が約20%)であった。世帯構成では約70%が2世帯以上の同居家族であったが、65以上の夫婦のみあるいは独居の1世帯構成も約25%にみられた。在宅介護期間は2年以上5年未満(約45%)を最頻値とし半年未満、10年以上を両端に正規分布を示していた。介護の内容としては、健康管理(約58%)、入浴介助(約50%)、外出介助(約47%)、家事援助(約45%)、安否確認(約44%)、心理的援助(約41%)が多かった。約9割の主介護者は介護支援者を有しており、家族/親戚(約82%)、市区町村(約22%)、友人/隣人(約20%)の順に多かった。在宅介護サービスを利用したものは半数に満たず、受けたサービスの内容は福祉サービス等の紹介(約26%)と入浴介助(約12%)が多かった。表3-2に挙げたサービスの種類のうち利用したことがあると答えたものは約78%にのぼった。受けたサービスの種類で多かったものは、デイサービス(約59%)、ショートステイ(約27%)、住宅改造(約14%)、訪問診療(約12%)であった。これまでに被介護者がいずれかの施設に入所したことがあると答えたものは約28%で、一般病院(約18%)、老人保健施設(約10%)が多かった。
表4にZBIの各項日毎の出現頻度を示した。“いつも思う”や“よく思う”の出現頻度が高かった質問項目は、項目8「被介護者はあなたに頼り切っていると思いますか?」(それぞれ約34%、約18%)、項目13「被介護者はあなただけが頼りという風に見えますか?」(それぞれ約28%、約16%)が特に目立った。つぎは、項目7「被介護人が将来どうなるか不安になることがありますか?」(それぞれ約約14%、約18%)であった。つづいて、項目4「被介護人の行動に対し、困ってしまうようなことがありますか?」(それぞれ約10%、約15%)、項目3「介護の他に、家事や仕事などもこなしていかねばならずストレスだなと思うことがありますか?」(それぞれ約10%、約12%)、項目2「介護のために自分の時間が充分にとれないと思いますか?」(それぞれ約8%、約14%)であった。介護負担感についての全体な自己評価は、多少負担に思う約36%、世間並みの負担だと思う約32%であった。かなり負担だと思うと答えたものも約18%、非常に大きな負担であると答えたものも約6%いた。
前ページ 目次へ 次ページ
|
|