GHQは英国のGoldbergによって精神障害のスクリーニング・テストとして開発された尺度であり、60項目版、30項目版、28項目版、20項目版、12項目版の4つのバージョンがあるが、本研究では12項目版を用いた。質問項目は、0:できた、1:いつもと変わらなかった、2:いつもよりできなかった、3:全くできなかったの4段階であり、0-4点まで精神的に不健康であるほど高得点になるように配点してある。GHQ12はLikert採点法(0-1-2-3点)を用いると総得点が0-36点となるが、本研究ではGHQ採点法(0-0-1-1点)を用いたので総得点は0-12点である(質問項目の詳細は表5参照)。
PSQIは米国のBuysseらが開発した睡眠に関する尺度である。過去1ヶ月間における就寝時刻、起床時刻、入眠時間、睡眠時間の他に睡眠困難の理由、眠剤の使用、日中覚醒困難について、0:なし、1:1週間に1回未満、2:1週間に1-2回、3:1週間に3回以上、睡眠の質について、0:非常によい、1:よい、2:わるい、3:非常にわるいの各4段階から評価する尺度である。各項目に重みづけをしPSQI総得点を算出すると0-21点となる(質問項目の詳細は表6を参照)。
C.調査
1998年8月から10月にかけて、15市町に勤務する保健婦が対象者の自宅を訪問し、「在宅高齢者を介護する者の精神的健康度に関する調査票」を用い面接を行った。この面接調査は、老人福祉計画の基礎資料を得るための全国調査と同時に実施された。なお調査を実施する前に熊本県天草保健所が中心となり面接者を対象に調査説明会を行った。
D.解析方法
被介護者の背景要因、主介護者の背景要因、介護状況、ZBI各項目、GHQ12各項目、PSQI各項目について出現頻度(%)を算出した。また、被介護者の状態(寝たきり度、痴呆による自立度、ADL)別にZBI、GHQ12およびPSQIの各総得点の平均値(±標準偏差)を算出し、一元配置分散分析を用い平均値の群間比較を行った。さらに、Dunnett法を用い被介護者が自立可能である状態を対照とし自立可能でない状態との平均値の比較を行った。また、主介護者の介護負担感、精神的健康度、睡眠の相関をみるために、ZBI総得点とGHQ12総得点、ZBI総得点とPSQI総得点、GHQ12から睡眠に関する1項目を除いたGHQ11項目の総得点とPSQI総得点の相関をPearson相関係数を用い解析した。また、GHQ12総得点の3/4区分点を用い精神的健康度のわるいものとよいものに2分類し、多変量解析によって、主介護者の精神的健康度と介護負担関連要因との相関について検討を行った。解析にはSPSS version8.0を使用した。
?.結果
294人の対象者に対し、282人から回答が得られた(回収率95.9%)。12人の回答を得られなかった者の内訳は、入院や入所中の者8人、半分以上回答が得られなかった者2人、主介護者が軽度知的障害者1人、不明1人であった。
被介護者の背景要因を表1に示した。被介護者は女性が多く(約70%)、70歳代と80歳代で約80%をしめ、平均年齢は82.5±6.8歳であった。
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