これらのプライマーによるRT-PCR産物のシークエンスを行い、目的とする遺伝子部位が増幅されることを確認した。 One step RT-PCR の条件は、前述のLe酵素遺伝子とほぼ同様で、反応液に加える抽出RNAは750ng、PCR増幅の際のプライマー結合を68℃、 2分30秒、 伸張を72℃、 2分15秒で行った点のみが異なった。
なお、胃癌例の背景粘膜として、癌の比較的近傍の粘膜組織も採取した例が5例あり、 これらは,、10%ウサギ正常血清をブロッキング試薬とし、第1抗体に抗LeaまたはLebモノクローナル抗体(マウス由来IgM抗体、Biotest社)を用い、第2抗体をビオチン標識マウスIg抗体、酵素をペルオキシダーゼ標識ストレブトアビジンとするストレブトアビジンービオチン法にて免疫組織化学的判定に供した。
? 結果
Le酵素遺伝子のRT-PCR法の結果では、正常もしくは軽度胃炎例のRNAの定量を意味する増幅産物バンドの強度は1.47±0.99(平均値±標準偏差、以下同様)、他方の胃癌例は0.99±0.53で、有意な差は認められなかった(p>0.05)。また、胃癌例のうち2例で、癌部とその周辺の非癌部の組織RNAを、RT-PCR法で予備的に検出したが、この場合でも、増幅産物バンドの強度に差は認めなかった。
Se酵素遺伝子のRT-PCR法の結果でも、正常もしくは軽度胃炎例の増幅産物バンドの強度は1.74±0.52、一方の胃癌例は1.44±0.24で、有意な差は認められなかった(p>0.05)。また、予備的に胃癌例のうち2例で、癌部とその周辺の非癌部の組織RNAをRT-PCR法で検出したが、増幅産物バンドの強度に差は認めなかった。
免疫組織化学的に胃癌部の背景粘膜を検討した5例では、顕微鏡上,腸上皮化生を伴う胃炎像を示したが、抗Leaおよび抗Leb抗体の染色のいずれでも、染色は、腸上皮化生部を中心とした軽微な程度であった。抗Lea抗体での染色の程度は、抗Leb抗体の染色よりやや強いか同等の印象であった(次頁、図)。
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