これによって、ありふれた、慢性的な症状の対処方法について、適切な対処を行うための判断基準の作成を検討したいと考えている。
?.まとめ
問診において、不眠は精神的な問題を意識して行われ、一方、便秘は大腸がんが意識して行われている。症状においてその意識している疾患が異なり、それによって身体所見や検査の実施に影響している。
不眠や便秘の対処・治療法の確立は約80%の医師が卒後5年以内であった。ほとんどが、経験に基づいてその行為が確立している。今後は、慢性的な症状に対する対処・治療法の適切な卒後研修プログラムが必要と考えれられる。
慢性的な症状に対する対処・治療法の評価に関して、N-of-1 trialは有用な手法であることがわかった。今後、症例を増やし、さらに検討を加え、慢性的な症状に関する対処・治療法の選択の適切な判断方法の確立が必要である。
?.謝辞
本研究は平成10年度日本財団補助事業(研究事業)を受け行われた。ここに日本財団に対し心から感謝申し上げます。また、あわせて、調査にご協力いただいた関係各位にも感謝致します。
?.参考文献
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