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 この研究では、まず健常者のおいて測定値の再現性を確認すること、次に健常者の末梢血管についてその基準値とも呼べるものを作成すること、最後に下肢特に外腸骨動脈の血流を健常者と糖尿病・動脈硬化症を有するものについて比較を行った。

?.測定原理

 カラードプラ画像の各ピクセル信号は、ディスプレイに表示するための固有の大きさをもつ一方で、フレームレートに規定される単位時間に取り込んだ信号の平均流速を表すため、その固有の大きさでの流量を表すことが解る。よって、このピクセルの信号を用いて、1フレーム分の単位時間の流量を算出することが可能であり、これを瞬時流量と表現する。本論での流量計測法はこれを応用して、各フレームの速度プロファイルを2次元に展開することで求められる瞬時流量を、1心拍分に相当する連続したフレーム分積算することで算出する。
 これを、分時流量をVm(ml/min)、1心拍分の信号取り込み間隔をt2とt1の間、1フレームの瞬時流量をv(t)(ml)、心拍数をr(1/minute)とすると、1分あたりの流量は以下の式で表示できる。

 各フレームの速度プロファイル表示には、以前報告したようにモニターにカラードプラ像として表示される信号を用いる(図1)(図2)。プロファイルを作成する基準線上の各点は、カラー表示される画面の各ピクセルの平均速度信号に対応する。カラー信号は通常の自己相関処理により得られるものであり、折り返しのない範囲でできるだけ低流速も表示できるようにする。時間分解能は、カラードプラ画像が1秒間に装置に表示される枚数いわゆるフレームレイトに依存する。すなわち、カラードプラ信号の表示範囲を広くすると低くなり狭くすると高くなり、20Hzであれば時間分解能はおよそ50msecとなる。なお、収縮期・拡張期などの心周期との関係は装置に内蔵されたループメモリを用い、同時に記録された心電図の波形と対応させる。
 装置は本システム用に改良したAloka SSD-2000、探触子はカラー表示が可能でこの装置に装着できるものは使用可能である。血流計測のための血管描出は角度補正を行うために長軸断面が望ましく、プロファイルを作成する基準線はその血管の中心を通りかつ壁に垂直に設定する。

 

 

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