2)尿失禁経験者
尿失禁経験者では、尿意が「ある」と答えた者は27名(34.6%)、「ない」と答えた者は51名(65.4%)であった。
尿意がある群の膀胱尿量の平均値は93.7±79.6mlであり、排尿量の平均値は96.9±49.8mlであった。また、両者の間の相関係数は0.861(p<0.01)で、回帰式はy(排尿量)=0.533x(膀胱尿量)+45.837であった。尿意がない群の膀胱尿量の平均値は93.6±88.7mlであり、排尿量の平均値は91.2±59.8mlであった。また、両者の間の相関係数は0.770(p<0.01)で、回帰式はy(排尿量)=0.519x(膀胱尿量)+42.629であった。
膀胱尿量と排尿量のそれぞれについて、尿意がある群とない群との間で平均値の差の検定を行った結果、膀胱尿量、排尿量ともに有意な差はなかった。
表3 尿失禁経験者の尿意の有無別にみた膀胱尿量と排尿量の平均値
?.考 察
今回の研究では、20歳前後の健康な女子学生60名と尿失禁の既往を有する女性84名を対象者として、米国で開発された超音波膀胱尿量測定装置(Bladder Manager)によって膀胱尿量を測定し、これを実際の排尿量と比較することによって、超音波膀胱尿量測定装置の測定精度の検討を行うとともに、排尿障害者の看護介入に活かすことを目的として、排尿障害者の蓄尿機能や排泄機能の特性を明らかにしようと考えた。
超音波膀胱尿量測定装置の測定精度については、健康な女子学生においても、尿失禁経験者においても、膀胱尿量と排尿量との間には、強い相関関係があり、超音波膀胱尿量測定装置は、ある程度の精度で膀胱尿量を測定できると考えられた。ただし、排尿量が100ml前後では、膀胱尿量と排尿量とはほぼ一致するが、排尿量がそれよりも少ない場合には、膀胱尿量は排尿量よりも低く、また排尿量がそれよりも多い場合には、膀胱尿量は排尿量よりも高くなることが明らかとなった。
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