B.膀胱尿量と排尿量の測定結果
1) 健康な女子学生
健康者60名の超音波膀胱尿量測定装置で測定した膀胱尿量(以下、膀胱尿量という)の平均値は129.9±79.5mlであった。これに対し、実際の排尿量(以下、排尿量という)の平均値は117.1±63.0mlで、膀胱尿量の方が若干高かったが、平均値の差の検定を行った結果、両者の間に有意な差はなかった。変動係数は、膀胱尿量では61.2%であるのに対し、排尿量では53.8%であり、膀胱尿量の方がわずかにバラツキが大きかった(図1)。
膀胱尿量と排尿量との関係を示す相関図は、図2のごとくであった。両者の間の相関係数は0.883(p<0.01)で、強い相関がみられた。回帰式を求めると、y(排尿量)=0.706×(膀胱尿量)+5.749であった。
2) 尿失禁経験者
尿失禁経験者84名の膀胱尿量の平均値は97.2±64.7mlであった。これに対し、排尿量の平均値は96.4±89.9mlで、膀胱尿量の方が若干高かったが、平均値の差の検定を行った結果、両者の間に有意な差はなかった。変動係数は、膀胱尿量では93.3%であるのに対し、排尿量では66.6%であり、排尿量に比べて膀胱尿量のバラツキが大きかった(図3)。
膀胱尿量と排尿量との関係を示す相関図は、図4のごとくであった。両者の間の相関係数は0.798(p<0.01)で、強い相関がみられた。回帰式を求めると、y(排尿量)=0.572×(膀胱尿量)+41.635であった。
C.BMIと膀胱尿量・排尿量との関連
尿失禁経験者84名をBMIが24未満の群(やせ・正常)とBMIが24以上の群(やや肥満・肥満)の2群に分けて、膀胱尿量と排尿量を分析した。BMIが24未満の群は54名(64.3%)で、BMIが24以上の群は30名(35.7%)であった。
BMIが24未満の群の膀胱尿量の平均値は88.7±89.7mlであり、排尿量の平均値は91.0±60.4mlであった。また、両者の間の相関係数は0.843(p<0.01)で、回帰式はy(排尿量)=0.565x(膀胱尿量)+40.411であった。これに対し、BMIが24以上の群の膀胱尿量の平均値は110.2±88.5mlであり、排尿量の平均値は108.1±70.3mlであった。また、両者の間の相関係数は0.728(p<0.01)で、回帰式はy(排尿量)=0.578x(膀胱尿量)+44.437であった。
BMIが24未満の群と24以上の群のそれぞれについて、膀胱尿量と排尿量との間で平均値の差の検定を行った結果、BMIが24未満の群と24以上の群ともに有意な差はなかった。
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