?.研究方法
A.研究対象
研究の対象者は、自治医科大学看護短期大学の健康な女子学生60名と、研究者らが以前に行った地域における尿失禁者の実態調査2)において、尿失禁の経験があると回答した女性のうち、研究の対象者となることに同意した者84名とした。
B.研究方法
超音波膀胱尿量測定装置を用いた膀胱尿量の測定は、自治医科大学看護短期大学内で、平成10年8月〜12月の間に行った。測定時刻は9時〜15時までとしたが、実際の測定時刻はおおむね12時前後であった。測定は、超音波センサーのついたマウスにゼリーを十分に塗布し、臍部の下方1/4のところと恥骨の間の腹壁にマウスを密着・接触させて行った。マウスの装着場所を臍部の下方1/4のところと恥骨の間としたのは、恥骨上から臍部の間の数ヶ所で尿量測定を行った結果、もっとも正確な膀胱尿量が測定できると考えられたからである。測定時の被験者の体位は、緊張をゆるめた仰臥位として実施した。
また、膀胱尿量を測定した直後に、実際に排尿してもらって排尿量を測定した。さらに、自記式質問紙調査票によって、対象者の尿失禁・尿路感染の経験、服薬状況、日常の排尿状況などを調査した。
C.データ分析
膀胱尿量や排尿量の測定結果、ならびに質問紙調査の回答は、統計解析パッケージHALWINを用いて分析した。
?.研究結果
A.対象者の背景
1)健康な女子学生
健康な女子学生60名の年齢は18〜22歳に分布し、平均値は20.1±1.1歳であった。出産経験者はいなかったが、人工妊娠中絶の経験者が1名いた。
BodyMassIndex(BMI)の平均値は20.08±1.05で、正常範囲内であった。日常の生活のなかでの運動については、まったく運動を行っていない者が31名(51.7%)、行っている者が29名(48.3%)で、ほぼ同数であった。
尿路感染の経験については、13名(22.4%)の者が尿路感染を経験しており、その回数は1〜5回であった。
排泄に関係すると考えられる薬剤の服用については、利尿剤や女性ホルモンなどを服用している者はいなかったが、排泄機能調整剤や抗生物質を服用している者がそれぞれ2名(3.3%)いた。
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