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[?]地域住民の排尿障害者のQOLを高める〈膀胱尿量測定福祉用具
  (Bladder Manager)による排尿障害の改善のための看護介入〉


土屋紀子  自治医科大学看護短期大学
神山幸枝  自治医科大学看護短期大学  辻村史子  自治医科大学看護短期大学
岸恵美子  自治医科大学看護短期大学  尾城恵子  自治医科大学看護短期大学
大角育子  自治医科大学看護短期大学  渡邉亮一  自治医科大学看護短期大学
荒木美千子  自治医科大学看護短期大学

?.はじめに

 従来、わが国の地域保健の分野においては、成人病の二次予防を中心に疾病予防活動が展開されてきたが、近年、生活習慣の改善などの一次予防の重要性が指摘され、成人病という名称も生活習慣病へと改められた。このような疾病の一次予防の重要性の認識と高齢者人口の増加や国民の健康に対する意識の高まりなどによって、今日、地域における健康教育の重要な課題のひとつとして、女性の尿失禁の問題が浮上している。
 尿失禁は、幅広い年代層の女性に潜在していた問題であったにもかかわらず、羞恥心をともなうこと、尿失禁者自身に病的意識がないことなどから、長年健康問題としてとりあげられなかった。しかし、上述のような背景から、近年では、健康問題のひとつとして考えられるようになり、日常の排泄管理とセルフケアに関する諸問題が徐々に明らかにされつつある。しかしながら、まだ十分な研究は行われておらず、本格的な研究はこれからである。
 さて、近年米国においては、膀胱内の尿量を超音波によって測定する装置(Bladder Manager:商品名PC15000)1)が開発され、商品化されている。この装置は、小型・軽量で、尿失禁者が携帯することも可能であり、最近わが国にも輸入され、販売されている。しかし、この装置がどの程度正確に膀胱尿量を測定し得ているのかは、明らかではない。
 そこで今回、研究者らは、この超音波膀胱尿量測定装置が膀胱尿量を正確に測定することができるかどうかを検討するとともに、超音波膀胱尿量測定装置を用いて排尿障害者と健康な女性の膀胱尿量を測定し、両者の測定結果を比較することによって、排尿障害者の蓄尿機能や排泄機能の特性を明らかにすることを目的として研究を行った。

 

 

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