3.DNA解析
18名の患者各々より5mlの末梢静脈血を収集した。既報の方法により、末梢血白血球より得られたDNAを用いてCTG反復配列の大きさを解析した(4,5,50)。DNA(10ng)をEcoR IあるいはBgl I(東洋紡、日本)で消化したあと、0.8%アガロースゲルにて電気泳動した。そのDNA断片をナイロンフィルターにトランスファーし、原因遺伝子の相補的DNAである32Pで標識したcDNA25プローブ(11)と65℃で18時間ハイブリダイゼーションした。
4.統計
結果は平均±標準偏差にて示した。DM患者と正常対照との間で臨床検査結果と心エコー図のパラメーターに差が有るか否かの検定には、ノンパラメトリック検定(マン・ホイットニ検定)を用いた。骨格筋障害の重症度とCTG反復配列の相関の有無の検定には、ケンダルの順位相関係数を使用した。直線回帰分析を用いて、CTG反復配列の大きさと神経症状の初発年齢との相関を検定した。拡張機能のパラメーターを予測するために、変数選択一重回帰分析を使用した。年齢、性、有症候期間、CTG反復配列の大きさ、そして伝導障害の有無を変数に選択し、どの変数が拡張障害に影響する独立した因子となるか決定するために多変量解析(ロジスティック回帰分析)を施行した。P値が0.05未満のとき統計学的に有意差有りとした。
? 結果
1.骨格筋障害
骨格筋重症度スコアとCTG反復配列の大きさとの間には有意な正の相関が認められた(図1)。さらに、このスコアと年齢・有症候期間との間にも有意な正の相関が認められた(各々 r=0.71,p<0.001;r=0.53,p<0.005)。しかし、神経学的症状の発症年齢とCTG反復配列との間には、相関は認められなかった。
2.左室収縮機能
DM患者と正常対照との間で心拍数と血圧に有意差はなかった。左室拡張終期径、左室収縮終期径は両者で有意差はなかった(表1)。DM患者で明らかな左室の局所壁運動異常を示したものはいなかった。DM患者では3名(17%)が僧帽弁逸脱を示し、軽度の僧帽弁逆流が認められた。DM患者で左室肥大を示したものはいなかった。DM患者の左室収縮能、すなわちFS、EFは各々36±7%、64±12%であり、正常対照と有意差はなかった。拡張能を示すパラメーターでは、DM患者ではEとAは正常対照と比較し有意に小さく、DTとIVRTは有意に大きかった。E/A比はこれらの二つの群では有意差はなかった。
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