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 神経症状の初発年齢は15歳から42歳(平均30±9歳)、有症候期間は1年間から36年間(平均11±9年間)であった。高血圧・慢性肺疾患・弁膜症などの後天性心疾患および僧帽弁逸脱症候群以外の先天性心疾患を有する患者は除外した。全ての患者は十分な説明を受け、この研究の対象患者となることに同意した。  骨格筋障害の重症度は以下のように段階づけ、スコア化した。スコア1;ミオトニアはあるが筋萎縮を伴わず、ごく軽度の筋力低下を伴うか伴わないもの、スコア2;ミオトニアに軽度から中等度の筋力低下と筋萎縮を伴うもの、スコア3;ミオトニアに重度の筋力低下と筋萎縮を伴うものである。スコア3の患者は一般に顔面と前腕の筋が障害され筋力低下と筋萎縮を伴っていた。.スコア1は4名、スコア2は8名、スコア3は6名であった。これらの骨格筋重症度の評価は同じ医師によって施行された。
 正常対照は年齢・性の一致した志願者で、高血圧・冠動脈疾患の病歴を有さず、身体所見・心電図・心エコー図とも正常であった。
2.心機能の評価
 心機能の評価は病歴、身体所見、胸部X線写真、心電図、および心エコー図により、18名全員に施行した。心エコー図は市販の心エコー図機械(E-160A,東芝、東京)にて、パルスおよび連続波ドップラーの機能を有する2.5MHz超音波探触子を用いて施行した。左室短縮率(fractionalshortening;FS,%)は胸骨左縁の像より得た。左室駆出率(ejection fraction;EF,%)はアメリカ合衆国心エコー図学会の推奨された方法(17)により心尖部からの像より得た。
 左室流入血流速度波形は、拡張早期波(E波速度)と心房収縮波(A波速度)の二峰性を呈する・パルスドップラーによる左室流入血流速度波形については、心尖部からの長軸像と四腔像より拡張期にサンプルボリュームを僧帽弁弁尖に置き、拡張早期波最大流速が最も大きい部位に探触子を動かして像を得た(18,19)。それらの像で速度の最大を拡張早期波最大流速(E)、心房収縮期波最大流速(A)とし、E/A比を計算した。左室流入血流拡張早期波の減速時間(deceleration time;DT,msec)はEが基線の0に減速するまでの時間として計測した。左室等容拡張時間(isovolumic relaxation time;IVRT,msec)は第二肋間胸骨右縁に心音マイクを置き、第二音の始まりからE波速度の始まりまでの時間を測定した。IVRTは最も鋭敏な拡張障害の指標とされている。すべてのこれらのドップラーパラメーターはスイープ速度12.5cm/秒にて記録し、測定値は連続的3から5心拍周期の平均値で示した。これらのパラメーターは約3分の1の患者は骨格筋重症度スコア3で四肢の筋力低下が重度のため、安静時のみ評価した。僧帽弁逸脱は最近確立された基準(49)により断層心エコー法により診断した。これらの心エコー図検査は全ての臨床検査結果とDNA解析結果を知らない、同一の医師によって施行された。

 

 

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