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(4)Apash(失業者支援システム)について
 失業者は年々増えつづけ、この社会センターの支援活動を利用している人は現在9,295人に上り、また1997年度までの支援件数は、1,894,245,212件となっている。そのような状況の中、社会センターはKLRというシステムを活用し、支援活動を行っていた。
 しかし、データ量の増大、2000年未対応、ユーロ通貨への未対応など、システム維持管理が困難になったため、新しいシステムを構築する必要がでてきた。
 そこで今回構築されたのが、このApashである。
 このApashは、Antwerps(アントワープ市)、Project(計画)、Automatisering(機械化)、Sociale(社会福祉)、Help(扶助)の頭文字をとってつけられたものである。
 このApashシステムは1998年5月に稼働し、Windows環境のクライアントサーバシステムであり、22の社会センターに300台のパソコン、30のサーバ、2つのメガサーバ、汎用コンピュータで構成されており、441のルール(カテゴリーを明確にするため)にのっとって運用されている。
 またオブジェクト指向のプログラム言語で開発されており保守も容易であり、エキスパートシステムの登載により複雑な関係法令改正にも対応し、2000年対応、ユーロ通貨への転換も容易に図ることができる。また、入力などの操作性も向上し、ヘルプ機能などの情報提供が簡単にできるようになった。このシステムのネットワーク化に際しては、市内の地下に通っているガス管を活用しケーブルを敷設して実現したものであり、光ファイバーを利用している。

(5)Apashの利用形態
 このシステムの利用方法は、失業者が社会センターで失業支援の申請を行う。その申請を受けて、社会センターの職員がその失業者に対しどの程度の支援を行うことが相当であるかどうか事前調査を行い、そのデータをApashに入力する。その結果、このApashが支援額がどれくらいになるかを出力し、失業者に支援金が支払われる仕組みとなっている。ただし、チェック機能がありApashがはじき出した支援金は、社会センターのディレクターがその金額が相当であるか確認後、支払システムに支援手当を入力し、申請した失業者に支援金として最高6ヵ月間支給される。
 Apashの特徴は、個人の基本情報が登録されており、住所もすぐわかる。例えば持ち家か、貸し家でオーナーは誰か、家賃はいくらか、なども参照できる。また、Apashは国ともつながっており、データは統一されている。このため、アクセス権がある人は全国どこからでもこのシステムを参照することができる。
 個人情報保護については、当然アクセス制限があり、ユーザー識別番号とパスワードによりアクセス可能となっている。また、データの変更については必ず誰が変更したかの記録が残り、さらにデータファイルを利用している人がいれば、他の人は参照はできるが、変更できないロッキングシステムとなっている。また、ユーザーにより利用可能な機能(特定画面及び、画面上の特定ボタン等)を制限することも行っている。  また、メールシステムもあり、これを活用することにより、必要なデータファイルを簡単に検索したり、関係法令の改正、アプリケーションの拡張などの情報を、すべてのApash利用者に通知することもできる。


(6)今後の課題
 このシステムは失業者に対する財政システムであり、市民も移民もサポートするシステムである。ただし、老人福祉や障害者福祉関係システムと連動はしておらず、それを含めたトータルなシステムを将来考えている。また、近いうちにインターネットを活用し、失業者自身が自分の受けられる福祉サービスがわかるようなシステムを検討している。

 

 

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