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第4節 福祉総合情報システム構築に向けたアプローチ
 福祉総合情報システムの構築の進め方は、地方公共団体の情報システム化の進展状況や福祉政策の取り組み状況等、その地方公共団体の特性によって異なる。
 例えば、地域の福祉行政を近隣の地方公共団体と広域で行うケースと単独実施するケースでは、情報化に必要な情報の内容や関係機関との連携手段等が異なる。
 ここでは、これらの状況を踏まえて、福祉総合情報システムを構築するためのアプローチ方法を整理する。


4-1 サービス利用者本位に立った情報システム構築の進め方

 第1節でも記述したように、ほとんどの地方公共団体で何らかの情報システム化が進められている。ただし、対象業務の範囲や部門間連携の程度、データの共有化の範囲という観点からすると、その実現状況は地方公共団体によって、大きく異なっている。
 地方公共団体によって状況が異なる要因としては、福祉にかかわる情報の電子化の範囲や情報を共有するための目的、共有手段の違いなどが挙げられる。
 例えば、情報を電子化しなくても特に業務に支障がない地方公共団体や外部の機関との情報交換にネットワーク化等の必要性がない地方公共団体もある。

 しかし、今後、サービス利用者本位の立場での情報提供や近隣市町村との広域事業の展開、民間サービス提供事業者の参入による情報の共有化の必要性等、在宅福祉サービスを中心とした福祉総合情報システムを構築していくには、サービスを受けている住民の情報を迅速に把握し、適切な対応を行っていくことが必須である。
 地方公共団体が、いかに情報の電子化やネットワーク化をその地域の状況に沿った形で効率的に実現していくか、また、サービスを公平に提供していくかは、財政的な面や開発体制の面を考慮し、地域の実情に合ったシステムの構築を行っていく必要がある。
 特に、福祉にかかわる情報の電子化の状況と電子化された情報を活用するための運営体制、それらを有機的に結び付けるネットワークの接続状況、福祉にかかわる情報の活用範囲と目的等によって、福祉総合情報システムの構築範囲や実現方法も異なってくる。
 これらを実現するための基本となるのが、「情報の電子化」と「ネットワーク化」の推進である。
 福祉業務の事務処理の効率化を進める上で、情報の電子化を行い、福祉に関係する部門や関係機関間で情報の共有化を図る。また、地域住民のニーズに的確に対応した福祉サービスを提供していくために、ネットワークを活用して様々な情報を、いかに効率的かつ迅速に、必要とする住民や機関に提供していくかが重要となる。
 地域の特性に合せた電子化とネットワーク化を進めていくための手段として、次の4点が挙げられる。
・情報の電子化
・情報入手の高度化
・情報提供手段の多元化
・ネットワークの広域化

 「情報の電子化」は、情報システム化のベースであり、福祉にかかわる情報が電子化されていない所では、情報の電子化を図り、情報の共有環境を整備する必要がある。
 電子化が行われている所でも、電子化されている情報の内容や電子化の方法により、情報蓄積の効率化を図るために「情報入手の高度化」を進める必要がある。さらに、情報収集の範囲を広げるためには関係機関とのネットワーク接続により「ネットワークの広域化」を図る段階へ進むことになる。
 また、電子化された情報の活用範囲を広げるために「情報提供手段の多元化」を図る必要がある。さらに、利用環境の広域化を進めるために関係機関間との「ネットワークの広域化」を図ることが必要となる。
 これらの関係を整理したのが次の図である。

図2-3 情報の電子化とネットワーク化の推進

 地方公共団体は、情報化の状況や地域の保健・医療や福祉関係機関との連携目的、住民へのサービス提供方法を十分検討の上、適切なシステムの構築を行う必要がある。
 このことにより、システム開発や運用保守に伴うコスト負荷の軽減、住民に対する公平なサービスの提供が達成できる。

 

 

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