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第4章 アウトソーシングの活用

第1節 アウトソーシングの概要

アウトソーシングの概要を以下に整理する。

1−1 アウトソーシングの定義と調査対象

 「アウトソーシング」とは、文字どおり、OUT(外部)のSOURCE(資源)を活用することであるが、当初、情報システム分野を中心に取り組まれた経緯から情報システムに限定したものする考え方もある。U.M.アプテは「アウトソーシングとは情報システム機能の一部または全部を選択的に第3パーティの請負人に移転することである」(1992年)と定義しており、また、島田達巳『アウトソーシング戦略』(1995年)においては、「アウトソーシングとは情報システムについて、ユーザーがベンダーとの間で契約を交わし、設定した水準のサービスを長期間にわたって受けることである」と定義されている。
 しかしながら、近年、アウトソーシングが行われている分野は情報システムに止まらず、総務、経理、福利厚生、人事関連業務等の多岐に発展しており、情報システム分野に限定した定義では不十分である。このような背景から、花田光世『マルチプル・コ・ソーシングによる未来の創造』(1996年)では、「アウトソーシングは、企業にとって専門的なサービスを外の組織に求められていくことにほかならない」と広く定義されている。このほか、西口敏広『共生進化の組織間マネジメント』(1996年)では、「あるまとまりを持つ主要な契約の遂行に、部分的に貢献する契約」と、非常に暖昧な定義がされており、S.A.テスラーが述べているように、「アウトソーシングの定義は非常に暖昧で、年を追うごとに定義が広がっている」状況にある。
 そこで、本調査では島田達巳『実践アウトソーシング』(1998年)を基に「アウトソーシングとは、ある組織からほかの組織に対して、組織の機能やサービスのすべて、もしくは一部を委託すること」と広く定義する。しかしながら、調査対象に関しては、本調査の趣旨から、「地方公共団体における情報システムの運用管理」のアウトソーシングに対象分野を限定し、調査を行うこととする
 なお、アウトソーシングには、「下請け」、「請負」、「外注」、「代行」、「人材派遣」、「コンサルティング」等の類似概念が存在し、その境界は非常に暖昧である。本調査では、花田モデル(花田光世)を基に、アウトソーシングとの区別が比較的容易である「人材派遣」、「コンサルティング」をアウトソーシングと異なる概念として調査対象外とするが、「外注」、「代行」等に関してはアウトソーシングとの区別が困難であると考え柔軟に捉えて調査を行うこととする。

表4−1 アウトソーシング・サービスにおける本調査研究の対象

表4−2 花田モデルによるアウトソーシングの分類と調査対象範囲

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