1−4 シン・クライアントの動向
シン・クライアントで最も早く出荷が行われたのはNetPCであり、1997年の米国の「PC
EXPO」で試作機が展示され、同年秋から出荷が始まった。これはNetPCの基本構造がパソコンと大きく変わらないためであり、また、NetPCの運用に必要なZAKが早くから提供されたのも要因であると考えられる。
一方、規格が提唱されたのが最も早かったNCであるが、OS、アプリケーション等の製品開発の遅れから当初の予定していた時期より出荷が遅れている。神奈川大学等、1998年第一四半期にNCを導入した事例もあるが、NC全体として正式な出荷は1998年6月以降になっている。したがって、日経コンピュータが1998年4月末から5月にかけて実施したアンケート調査において、4〜5%の「NetPCやネットワーク・コンピュータの導入」が見られるが、そのほとんどはNetPCを導入しているものと想定される。
WBTに関しては後発の規格のため出荷も遅れており、1998年4月にベンダー11社が日本語版WBTの開発を表明し、同年秋から出荷が行われている。
このように、シン・クライアントは市場に投入されて間もない状況にあり、将来的な普及に関しても予測が困難である。しかしながら、既存の専用端末の買い換えや、旧型パソコンの再利用等への活用が期待され、ガートナーグループでは2000年までに世界で1,500〜2,000万台のシン・クライアントが導入されると予測している。
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