日本財団 図書館


(2) 必要な事項の設定と経済性試算

 先に整理した評価項目に基づきモデルの試算を行うため、事例や文献等を参考として表2-6に示す事項を設定し、表2-7に示すような試算結果を得た。 つまり、地方公共団体の経済性評価を行うためには、表2-6に示したような設定事項に対応する情報をヒアリング、アンケート等から抽出する必要がある。

 

表2−6 モデルによる経済性試算に必要な設定事項
評 価 項 目 試 算 に 必 要 な 設 定 事 項
システム構築費
端末(パソコン)は本体、ディスプレイ、ソフト(ワープロ、表計算、グループウェア)、ネットワーク機器等込みで40万円/台に設定し、3年間で利率10%の3年リースとする。
プリンタは30台とし、20万円/台として、端末と同様のリース契約とする。
サーバはバックアップやシステム管理ソフト等を含み1,000万円に設定し、端末同様のリース契約とする。そのほかの細かな設備費はサーバ料金に含む。
基幹業務アプリケリケーションの開発、及び設営は外部委託とし、委託費用は5,000万円とする。委託費は5年の定額償却とし、通信回線の初期コスト等もアプリケーション開発費に含む。
内部においては計画レベルまでの作業を担当することとし、作業量は200人目(15人による2時間の会議が5回、各部署による検討が2時間×利用者数、残りは情報システム担当職員の作業量)とする。計画作成人件費も基幹業務アプリケーション同様、5年間の定額償却とする。
運用管理費
5ヵ所の出張所と64キロビットのISDN専用線で接続しているとし、通信コストは1回線当たり31,000円/月とする。
端末1台とプリンタ1台の消費電力は150W/時とし、8時間/日、20日/月稼働することとする。 1KW/時の単価を11円とする。サーバは24時間稼働、能力の違い等から端末5台分の電力を必要とすると考える。
フロッピ、MO、トナーの消費量は、それぞれ20枚/台・月、2枚/台・月、2ヵ月に1回交換とする。 コストはそれぞれ60円/枚、2,000円/毎、18,000円/台とする。
派遣社員はオペレーション及びシステム管理とヘルプディスクの一部を担当することとし、派遣費用は1人当たり50万円/月とする。
教育は基本的に外部委託することとし、25人を1組としてそれぞれ3日間の研修を行うこととする。
研修費用は20万円/日とし、5年間の定額償却とする。
保守費用は端末、サーバのコストの5%が1年間に必要とする。
情報システム部門の人件費
情報システム部門の業務全体の6割が評価対象情報システムに関するものであるとし、システム管理、
ユーザー・サポート、教育
・研修、資産管理の比率は4:3:2:1とする。
ユーザー部門の人件費
研修は運用管理で設定したのと同様であり、費用は5年間の定額償却とする。
ユーザーによる開発、オペレーション、及びピア・サポートに関しては、コンピュータ等に詳しい人が利用者全体の5%おり、その人がそれぞれ1日/月対応するとする。
セルフ・サポートは各個人が1時間/月行っているとする。
FUTZファクタは各個人で1時間/月あるものとする。
計画的なシステム停止は3ヵ月に1回、6時間(つまり平均月2時間)あるものとし、機会損失率は50%に設定する。
非計画的なシステム停止は個人的なもの、システム全体を合わせて、各個人2時間/月あるものとし、機会損失率は同様に50%とする。
その他
地方公共団体の職員人件費は『地方財政白書(平成10年度)』に出ている一般行政職員の全地方公共団体平均給与から算出する。人件費は1人当たり336,000円/月であり、8時間/日、20日/月勤務すると時間単価は2,100円である。

前ページ    目次へ    次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION