日本財団 図書館


(5) アウトソーシング実施手順の提案

 先進事例、文献等を踏まえ、以下に地方公共団体の戦略的アウトソーシング実施手順を提案する。




アウトソーシングする業務内容の検討と効果分析

 我が国の地方公共団体においては、情報システムごとに検討する事例が多いが、今後は、システム横断的なアウトソーシングや、海外の地方公共団体に見られるような包括的なアウトソーシングについても必要に応じて検討することが望ましい。地方公共団体の規模や業務内容に応じては、複数の団体が共同でアウトソーシングすることも有効である。
 業務内容が決定した後は、アウトソーシングの形態、内外の役割分担、想定する効果・目的等を内部で可能な限り明確化する必要がある。
 なお、業務の効率化等のために新たに導入する情報システムをアウトソーシングする場合は、その情報システムの既存の情報システムの関連性等に配慮し、既存の情報システムと併せたアウトソーシングの可能性に関しても検討する必要がある。
アウトソーシングするベンダーの募集、評価、選定

 競争入札では、入札に参加するベンダーに対しては、目的、対象業務、情報システムの現状等、可能な限り情報を提供することが重要である。ベンダーを評価する視点としては、ノウハウ、技術力、安定性、信頼性等があり、コストだけでなく目的に応じて傾斜配点等をして総合評価をする。
アウトソーシングの契約

 業務内容に応じて定額契約か従量契約か選択する必要があり、業務内容が幅広い場合は、定額契約と従量契約を組み合わせることも想定される。
 契約期間に関しては、地方公共団体が単年度決算であることから単年度契約が基本となるが、随意契約の更新等により、ある程度長期的視野に立った契約を検討することが望ましい。
 サービス・レベルや、コストに関しては詳細な契約を結ぶことで、追加費用の請求を防止したり、サービス・レベルに対する補償を求めることが可能であり、個人情報保護に関する内容を契約に含めることも不可欠である。
 契約期間終了後にインソーシングする場合の協力、サービスが提供できなくなった場合の補填措置等に関しても契約項目に盛り込むことが望ましい。
アウトソーシングの実施、評価、見直し

 ハードウェアの移動(移行)を伴う場合、ユーザー業務等が中断されないように配慮する必要がある。また、ハードウェアの所有が変わる場合は、ソフトウェアの利用契約にも留意する必要がある。
 アウトソーシング実施後は、ベンダーとの連絡体制や、サービス・レベルを評価する仕組みを構築することが不可欠であり、これによりサービス・レベルの評価や改善を継続的に行うことが望まれる。

前ページ    目次へ    次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION