このシステム本稼働直前にある実験を行った。実験とは、10MbitのLANのデータ伝送能力がどの程度のものであるか、画像伝送を利用することにより定量的に把握するものであった。具体的には、自らの端末パソコンから他の端末パソコンの画像を瞬時に取り込み、コントロールが行えるソフトウエア(主に遠隔地の教育用あるいは、マンツーマンによる簡単な操作訓練用として使用している)を利用し、何台の端末パソコンの画像が同時に取り込みが行えるかを調査した。結果としては、7台から8台目の端末パソコンの画面を取り込んだ時点で、財政課及び会計課から業務が非常に遅くなったとの苦情があり、実験を終了した。この時10MbitLANの限界を身をもって痛感した。(思ったよりは早くない。)
また、この財務会計システム本稼働後に本庁内部は、レスポンスが早いが支所のレスポンスが遅いとの苦情があった。当然のことである。支所は、ISDN64を利用したLAN-WAN-LAN構成となっており、64Kbit、バルク転送したとしても128Kbitであり、本庁内と支所とでは、通信回線において単純に80倍から160倍のデータ伝送速度の差があるためである。
さらには、この頃に本市も試験的ではあるが、インターネットを利用して情報発信を開始した。このホームページ作成にあったては、他の自治体や企業等のホームページ参考とするため、ネットサーフィンを数多く行ったが、この時も通信速度の遅さを痛感した。(もっと通信速度が早ければ、もっとおもしろいことが可能になる。)
以上の経験及び経過により、通信回線の速度が遅ければ、直接業務に影響することはもちろんのこと、思考にまで影響することとなる。さらには、将来の端末パソコン、サーバの増設、マルチメディアに対応していくためには、可能な限り通信速度の高速化が必須条件であると認識した。
平成9年度には、平成10年4月からの住民情報、税情報システム等基幹業務の電算化のためにG(ギガ)bitLANを想定した100MbitLANをスイッチングハブを用い構築した。全庁的に利用するサーバについては、バックアップ、安全対策上1カ所で管理する方が効率的であるため、これらサーバに近いLAN上のトラフィックが最大となり、将来この部分において、現在の100MbitLANに輻輳(パンク)を起こすことが考えられる。このため、LANについてはすべてのシステムの基幹となるため将来を見越した十分な設計が望まれる。
前ページ 目次へ 次ページ
|
|