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4−5 「ほうれん草とイントラ」
 ほうれん草(ホウレンソウ=報告・連絡・相談)と言う言葉がありますが、これだけ、行政事務が複雑化すると、必要な情報を十分に周知徹底することは難しくなります。加えて、組織はますます硬直化してきております。
 ホウレンソウのネットワーク化ができるようになると、組織は血のめぐりが良くなり、老年期を迎えた体も、みずみずしい青年のような体に若返ると思います。
 「フェース・ツゥ・フェース」つまり「顔と顔」を付き合わせての連絡をする必要のない事項は、庁内LANで電子情報化・共有化しておけば、効率的です。
 例えば、復命文書なんて言うものは、電子掲示板で課内の共有情報とすれば、情報が課内(必要に応じて庁内)の津々浦々まで浸透し、情報収集の費用対効果も高まるはずです。
 最終的には、庁内LANは、庁内の新聞・TVニュースになるべきでしょう。世の中の時勢・時流とかが新聞などを見て分かるように、庁内LANを見て庁内時勢が分かるようになるべきでしょう。
 管理職の方々は、庁内時勢を常に把握する必要があり、とりわけ、恩恵も多いのではないでしょうか。

4−6 「市民のレベル以上の市役所は、ありえない」
 しかし、本当の目的は「市民」です。今、情報公開を一つの起点として、行政と市民の関係は新しい段階へ突入しております。
 例えば、地方公共団体の職員の日夜の研鐙により、政策立案能力が格段に向上したとしましょう。しかし、市民の認識のレベルを通り越して、それ以上の所で施策提言をしたとしても、理解は得られるのでしょうか。行政のプロとして、我々が如何に優れた施策を打ち出しても、所詮、市民のレベルで査定されますから、結果的に「市民のレベル以上」の施策は画餅と化す訳です。
 この意味で「市民のレベル以上の市役所を、市民は持ち得ない」訳です。であれば、市民自身も、日夜訓練され、レベルアップできる方法を考えることが必要ではないのか、と言うことです。
 それには、情報公開はもちろんのこと、市民に「報告し、連絡し、相談する」と言うホウレンソウの方法しかないのではないでしょうか。
 市民に、どんどん、情報を開示し「報告・連絡・相談」し、まちづくりへの見識を高めてもらい、率先して市民自身が学んでいって欲しいと言うことです。
 最近「そば打ち道場」なんてのがありますが、市民がまちづくりについて研修をし、自ら学ぶ場として「まちづくり道場」なんて言うのが生まれて来るのではないでしょうか。行政も努力するが、市民も自らの見識を高めてもらうしかない、それしか方法はない。それにはホウレンソウしかない、というのが私見です。

 

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