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2.患者

a)環境条件
 少なくとも1週間以上の間隔で,各受診時には少なくとも診察室で行った2回の測定値を基本の血圧値とする。家庭で種々の条件下で測定された値は,安定状態の血圧値を決める上に有用である。
 血圧を変動させる以下の多くの要因を知ることが大切である:(1)食事,カフェイン飲料,喫煙,1時間以内の過激な運動(2)交感神経刺激性点眼薬,(3)膀胱の充満状態,(4)降圧薬を服用している場合には服薬後の時間。特に1日1回の服薬の場合には,服薬前の値を知ることは有用である。
 患者は25℃の心地よい部屋で,あらかじめカフを上腕に巻いた状態で座位をとり,くつろいだ気分で少なくとも5分間前腕を心臓レベルに保つ。上腕は衣服などで圧迫しないようにする。

b)体位
 通常の測定では背もたれのある椅子にゆったりと座り,測定する側の前腕を心臓レベルに保つ。起立性の血圧変動をチェックするためには,起立後直後と1〜5分で測定する。妊婦の場合には座位と左側臥位で判定する。
 初診時には特に若年者の場合,大動脈縮窄症の鑑別のために1側の下肢の血圧を測定する。患者は腹臥位とし,上腿用のカフ(18×42?)を大腿部に巻いて膝窩動脈で測定する。適切なカフを用いれば,血圧値は上肢と下肢とで同じになるはずである。

3.手技

a)一般的事項
 各受診時に少なくとも2回,できれば1分以上の間隔をおいて測定する。二つの値が5?Hg以上の差を示すときにはもう一度測定し,少なくとも近い値を示す二つの数値が得られればよい。測定値をすべて記載してもよいが,一般には最後の二つの値を平均してそのときの血圧値とする。不整脈のあるときには5回測定し,平均値をとる。

 

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