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 初回は両側上肢で測定し,もし10?Hg以上の差があれば同時測定をして,高い方の値を選ぶ。

b)実施
 前肘部の上方2〜3?に下縁がくるように適切な大きさのカフをぴったりと,しかし強すぎないように巻く。収縮期圧は聴診間隔を避けるために,まず撓骨動脈の触診で推定する。推定収縮期圧を20〜30?Hg超えるレベルまでカフ圧を急速に上昇させる。膜式聴診器を上腕動脈上に軽く当て,カフを3?Hg/秒,あるいは,拍の速度で減圧する。
 シャープで連続した叩打音(Korotokoff phase 1)が初めに現れるところを収縮期圧とする。拡張期圧は連続音が消失するところとする(Ko-rotokoff phase 5)。5相がゼロレベルにまで至るときには,連続音が「くすむ」ところを拡張期圧とする(Korotokoff phase 4)。
 この値は真の拡張期圧より高いのが普通であり,以下のように記載する:140/80/0?Hg。血圧値は近似する偶数値で示すのが普通である。もしK-音が弱くて聴取しにくい時には,測定側の上肢を挙上させたまま,4〜5回手の開閉動作を行わせたのち,上肢を測定位へ戻してカフの減圧を開始する。

c)家庭血圧測定
 異なった時間,運動後,なんらかの症状のあるときなど,種々の条件下で複数回測定して記録しておくことは診断上有用である。長期にわたる治療状況をモニターするためには,食事や服薬に関連して同じ時間,同じ環境下で測定することが勧められる。治療薬を変更するときなどは家庭での測定値がたいへん参考になる。用いる器具は水銀血圧計で少なくとも年1回はチェックしておく。腕の太い者には大きなカフを用いるようにする。

 

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