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E.運動と血圧

 血圧は,普通,安静にしている状態で測られるが,最近では,運動中の血圧を測ることがしばしばある。ひとは日常生活で3分の2は起きて動き回っているわけで,必ずしもいつも運動ばかりしているのではないが,安静時の血圧はそのひとの日常の血圧を代表するものではない。運動や労作には情動の変化がつきもので複雑であるが,情動の変化をあまり伴わない運動中の血圧や心拍数の変化をみることは,隠れた心臓病の診断,胸痛の鑑別診断,治療効果の判定,心機能評価,体力評価,そして予後診断にきわめて有用である。測定法は,通常の安静時のそれと同様で,コロトコフ音の聴取によってなされる。運動中の血圧測定はとかく雑になりがちで,10?Hg単位で測定するような傾向があるが,通常の測定と同様に2?Hg単位で読みとるべきである。
 運動中の血圧反応にはスタンダードがあって,運動の量をだんだん増していくと,血圧はそれに伴って上がっていく。この反応は運動負荷のかけ方によって異なるので,一定の方法について健常人の反応を調べておき,

図39運動負荷試験における血圧変化のスタンダード

 

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