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図34 孤束路核(NTS)の破壊前後の血圧の変化破壊後に血圧の動揺が著しくなる
(ネコの破壊実験の成績から)

 このようなことから,動揺性の高血圧で,大きく血圧の動揺するひとについて,その機序の一端をうかがい知ることができるかもしれない。たとえば,“食べる”という行動によって血圧が少し上がり,脈も少しふえるが,延髄の一部を破壊すると,同様に著しい血圧動揺を示すようになる。すなわち,延髄の破壊によって調圧機能が障害されて,ちょっとした動作によっても血圧が大きく動揺するようになる。起立にさいしてみられる血圧の変動でも,きわだった異常がみられる。このように,血圧の調節が滑らかにいかない状態を,先に述べた血圧のヒストグラム(血圧の度数頻度)でみてみると,図34に示すように,破壊前の血圧の変動域が狭い範囲に調節されているのに対して,破壊後には変動域が大きく広がって,調節機能が欠如していることがわかる。このように,ナイフで切ったり,電気で破壊するということは,人間にとって非生理的であり,上述の実験の成績をそのまま人間にみられる血圧調節に敷えんするわけにはいかない。そこで,延髄のこの特殊な部位にあるどのような神経が血圧の調節にもっとも関連が深いのかを知る必要がある。

 

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