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図35 NTS破壊前後の血圧ヒストグラム
破壊後に血圧の調節機構が障害されて血圧の変動域が広くなる(5匹のネコについての実験成績より)


 神経の機能には,それぞれの神経の役割に応じて特定の化学物質が関与しており,これらは神経伝達物質と呼ばれている。これらには,ノルエピネフリン,エピネフリン,ドーパミン,セロトニンなどのモノアミン,種々のポリペプチッド,そしてモルフィン様物質など,数十種の物質があげられる。それらの中で,カテコールアミンであるノルエピネフリンがよく研究されているが,延髄の孤束路核にはとくにこの物質が多く存在しており,血圧調節における役割が古くから考えられていたが,このノルエピネフリンを含んだ神経を選択的に破壊する薬物をごく少量の部位に注入すると,ほかの神経の機能は残っているのに,全体を破壊したと同じような血圧の動揺が生じてくる(図36,37)。このように,必ずしも全体を破壊しなくても,いろいろな神経の伝達の機構が障害されると,血圧調節機構が偏重することがわかる。

 

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