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図33孤束路核(NTS)の形態Ap:Area postrema

 b)延髄と血圧の調節
 調圧反射に関与する延髄の特定の部位を図33に示す。この部分には,血圧の状態を感受する血圧受容神経がすべて集まってくるので,この個所を選択的に電気を通じて破壊するという実験がラット,ネコ,イヌなどで行われた。ヒトの病気の中には,これと似たような病像を示すものがあり,たとえば,最近ではほとんどみられなくなった小児麻痺のさいのポリオ脳炎や,鉛中毒などいろいろな重金属中毒の場合に,この部位に炎症や変性を生じて調圧神経が破壊され,高血圧や著しい血圧動揺を起こすことが知られている。
 実験的にこの孤束路核を両側壊した場合の血圧の変動を示したのが図34である。この図はネコの例であるが,ネコが毛づくろいで手足や体を舐めたりするときには,普通,血圧はあまり変化しない。すなわち,調圧反射が正常に機能しているときには,血圧はあまり上がらないが,延髄の一部が破壊されると図のように著しく血圧が上がって動揺する。

 

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