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在宅で死を迎える条件

 私は在宅ケアには情熱をもっています。しかし病院のサポートがないと,なかなか成功裡に在宅ケアを行っていくことはむずかしくなります。在宅ケアについていくつかの研究が行われていますが,ここでそのうちの二つの研究をご紹介したいと思います。
 まずタウンゼントが行った研究です。84名の患者さんに面接をしました。どなたも1年以内に亡くなられた人ですが,94%が「できるなら自分の家で死にたい」と言っていました。ところが実際は,病院で亡くなったうちの69%が家で死にたいと言っていた人たちでした。それから病院で亡くなった人のうちの3分の2は24時間ケアが必要であったというわけではありませんでした。セント・クリストファーズ・ホスピスの現状もこれに合致するものであり,在宅の人たちは必ずしも24時間ケアを必要としているわけではありません。
 それからまた病院で亡くなった方のうちの4分の1については,家で喜んでその人の面倒を見るという介護者がいました。在宅で使えるようなベッドやその他の機器を借り入れることができれば,在宅で死を迎えることも可能であったのではないかと言っています。
 もう一つはヒントンが行った研究です。セント・クリストファーズ・ホスピスのホームケアプログラムの77名について毎週面接を行いました。これらの人たちはケアの90%は自宅で行っていますが,そのうち29%の人が自宅で亡くなりました。30%の人は1〜3日入院しました。41%の人がそれよりも多少長い間入院することになりましたが,長くてもほとんどの場合14日以内でした。
 死亡する前の8週間について調べたところ,63%の人が症状はあるけれども何とか耐えられる症状であるとのことでした。

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