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 患者が2週間も3週間も入院していた当時だったからこそPOSがきっちりとできたのでしょうが,現在のように手術でさえも日帰りですませ,入院しても1週間足らずで退院するというような状況にあっては,このシステム自体も変化していかなければならないのは当然です。

 POSはそれまでの長い間用いられてきた因習的なチャートの記載に一石を投じたものでした。何よりも問題にされたのは,これまでのカルテにはまず患者の病名を書くということでした。しかし,病名の決定できない症状を呈する患者も大勢います。私たちが問題にしなければならないのは,患者の訴える問題をどのように解決していくかということです。ナースの立場からすれば,ケアを提供する場合に患者のどういうところに目を向けて,何を問題にして解決すべきなのかということです。つまり,患者のQOLを問題にしたアプローチといえるでしょう(表2)。

 これに対応するには,フォーカス・チャーティングという方式がもっとも効率的だといえるかもしれません。フォーカス(焦点)とは,入院時アセスメントあるいは入院中のアセスメントによって,情報から明らかにされた患者の関心や注目すべき行動,気がかりなこと,問題,心配,重要な出来事,患者に起こったあるいは起こり得る状態に関する結論です。ナースがどういうケアをしているのかチャートを見れば一目瞭然です。患者の問題やニーズをもっとも効果的に解決するには,フォーカスなら誰でも読み取ることができます。当然,記録に要する時間も大幅に短縮されます。

 

 

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